積層セラミックチップコンデンサ

テックノート

ソリューションガイド

電解コンデンサからMLCCへの置き換えガイド

Vol.2  EVのワイヤレス給電システムへの応用 概要

材料技術や積層技術などの高度化により、MLCC(積層セラミックチップコンデンサ)のさらなる小型化や大容量化が図られる中で、近年、温度補償用(種類1)のMLCCの耐電圧と静電容量の拡大も著しく進んでいます。
TDKが開発したC0G特性・高耐圧MLCCは、C0G特性で1000Vの耐電圧を業界最高クラスの広い静電容量範囲(1nF~33nF)で実現した製品です。共振回路などの用途では、従来、フィルムコンデンサが使用されてきた分野においても、MLCCへの置き換えが可能です。
このC0G特性・高耐圧MLCCの特長とともに、EVのワイヤレス給電システムにおけるフィルムコンデンサからの置き換えと、そのメリットなどを中心に解説いたします。

MLCCへの置き換え事例:EVのワイヤレス給電システム

ワイヤレス給電は、スマートフォンをはじめとする各種モバイル機器に広く普及しています。TDKのC0G特性MLCCは、小型サイズであるとともに、すぐれた温度特性により、モバイル機器のワイヤレス給電の共振用コンデンサとして広く採用されてきました。その一方で、TDKではEV(電気自動車)のワイヤレス給電の技術開発も進めています。
環境問題と燃費の観点から、世界各国の大手自動車メーカーは、エコカーの本命とされているEVに注力し、さまざまなモデルが開発されています。EVの普及に欠かせないのは、充電設備などのインフラ整備と航続距離を伸ばすことです。充電インフラについては、高速道路のSA/PA、空港、ショッピングモールなどの駐車場などに充電スタンドの設置が拡大していますが、これからの充電インフラとして期待されているのがコードなしに非接触の充電を可能にするワイヤレス給電システムです。また、ワイヤレス給電は自動運転の実用化に向けて不可欠の技術の一つにもあげられています。
TDKはモバイル機器の内蔵バッテリを充電する電磁誘導式のワイヤレス給電とともに、近年、注目を集めている磁界共鳴式のワイヤレス給電技術の開発にもいちはやく取り組んでおり、これまで自動搬送車(AGV)やエレベータなど、産業機器での利用ニーズに応えてきました。ここで紹介するEVのワイヤレス給電も、TDKの磁性体技術や誘電体技術などを生かした先進の磁界共鳴式のシステムです。

磁界共鳴式ワイヤレス給電の原理と特長

広く利用されている電磁誘導式のワイヤレス給電は、トランスのコアを分断して空隙を設けた構造と同等のシステムです。この方式は低コストで実現できるのが長所ですが、送電/受電コイルの間隔を大きくすると、伝送効率が急激に低下してしまいます。コイルが離れるにつれ、磁束の一部が漏れ磁束となり、コイル間の磁気的な結合が弱まっていくからです。この磁気的な結合の度合は、結合係数(k)で表されます。結合係数は0≦k≦1の範囲の値で、漏れ磁束がない理想的な場合は1ですが、コイル間隔が大きいほど、またコイルの中心の位置ずれが大きいほど、漏れ磁束も多くなって結合係数は低下し、ついには0となります。この難点を克服する新方式として登場したのが磁界共鳴式のワイヤレス給電です。
磁界共鳴式は送電側と受電側のそれぞれにコンデンサを挿入してLC共振回路を形成し、送電側と受電側の共振周波数を一致させて電力伝送する方式で、コイル間の距離が多少離れたり、中心の位置ずれを起こしたりなど、結合係数が低い状態でも高い伝送効率が得られるのが特長です。その基本原理を図1に示します。

図1 磁界共鳴式ワイヤレス給電の基本原理

図1 磁界共鳴式ワイヤレス給電の基本原理

磁界共鳴式のワイヤレス給電によるEVの充電システムにおいて、重要部品の一つとなるのは高電力用の共振コンデンサです。短時間で大きな電力を効率的にワイヤレス給電するには、高い耐電圧で高精度の共振回路が要求されるからです。
この要求に応えられるコンデンサとしては、フィルムコンデンサが有力な選択肢となります。しかし、航続距離延長や車内空間確保のために、さらなる小型・軽量化が求められるEVにおいては、回路の省スペース化をもたらすC0G特性MLCCへの置き換えは大きなメリットがあります。従来、1000Vの耐電圧をC0G特性で実現した製品はありませんでしたが、TDKが新開発したC0G特性・高耐圧MLCCにより効果的な置き換えが可能になりました。

C0G特性・1000V・MLCCへの置き換えで、さらなる小型・軽量化が実現
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