ノイズサプレッションフィルタ

ノイズサプレッションフィルタとチップバリスタによるマイクロフォンラインのTDMAノイズ対策、受信感度の改善、ESD(静電気放電)対策

How to Use NTC Thermistors for Inrush Current Limitingスマートフォンなどのマイクロフォンラインに、セルラーやWiFiの通信電波が干渉して侵入すると、その一部はTDMAノイズと呼ばれる可聴帯域のノイズ成分となり、スピーカーから不快な雑音として聞こえる場合があります。TDKのノイズサプレッションフィルタとチップバリスタの組み合わせによる対策は、信号に影響を与えることなく、TDMAノイズの抑制に絶大な効果を発揮するばかりでなく、セルラーやWiFi通信の受信感度の改善、ESD(静電気放電)対策など、さまざまなメリットをもたらします。

IoTデバイスには音声インタフェースが活用される

IoT社会において市場が急速に拡大している製品としてAIスピーカー(スマートスピーカー)があります。AIスピーカーが従来型のICT機器と異なるのは、音声が人間と機器を結びつけるインタフェースとなっていることで、そのキーデバイスが、音センサであるマイクロフォンです。TDKでは半導体微細加工技術を応用して開発した各種MEMSマイクを提供しています。

[関連ページ]MEMSマイク製品ポータル

MEMSマイクを使用するにあたり重要になってくるのが、信号波形を歪みなく伝える回路技術やノイズ対策、人体からのESDがマイクロフォンの空孔を通して回路内に侵入することを防ぐESD対策です。

ノイズサプレッションフィルタとチップバリスタの併用によるTDMAノイズ対策とESD(静電気放電)対策

TDMAノイズ発生のメカニズム

マイクロフォンラインに通信電波の高周波信号が侵入した場合、スピーカーから"バズ(buzz)"とか、"バズノイズ(buzz noise)"などと呼ばれる雑音(不快な可聴音)が聞こえることがあります。これは以前より、TDMA(時分割多重接続)方式の電話で大きな問題となっていたことから、一般にTDMAノイズと呼ばれています。図1は、スマートフォンにイヤホンマイクを接続した場合のTDMAノイズの発生事例のイメージです。セルラー通信時に高周波信号がマイクロフォンラインに侵入した結果、TDMAノイズが発生しています。

図1 TDMAノイズの発生事例(模式図)
図1 TDMAノイズの発生事例(模式図)

代表的なTDMA方式として、欧米やアジアなど、世界で広く使用されている携帯電話の規格であるGSMがあります。GSM通信では、4.615ms周期の間欠的なバースト信号で伝送されます。このバースト周期は217Hzの可聴域の周波数であるため、無対策のままでは雑音として聞こえてしまい対策が必要になってきます。

図2 GSM通信におけるTDMAノイズの発生のメカニズム
図2 GSM通信におけるTDMAノイズの発生のメカニズム

MAFとチップバリスタの併用はTDMAノイズの抑制に絶大な効果

これらの対策用部品としてTDKが開発したのがオーディオライン用のノイズサプレッションフィルタMAFシリーズです。MAFシリーズをマイクロフォンラインに使用することにより、音声品質を劣化させることなく、TDMAノイズ対策が可能となります。

[関連ページ]ノイズサプレッションフィルタによるオーディオラインのソリューションガイド

またモバイル機器においては、スイッチやマイクロフォンの空孔が人体からのESDの入口となるためESD対策が必須となります。チップバリスタはESD(静電気放電)やサージなどから回路を保護するとともに、通常はコンデンサとして機能するためノイズ抑制効果もあわせもつ部品です(図3)

図3 チップバリスタの機能
図3 チップバリスタの機能

[関連ページ]チップバリスタによるスマートフォンのオーディオライン・ESD保護
[関連ページ]静電気対策における積層チップバリスタと積層チップコンデンサの比較

図4にノイズサプレッションフィルタMAFシリーズとチップバリスタによるマイクロフォンラインのノイズ対策事例とその効果を示します。
MAFとチップバリスタのフィルタ回路により、MAF単体のみの場合と比べてセルラー帯での挿入損失が更に大きくなっていることがわかります。
その結果TDMAノイズのレベルが大幅に改善されます。(図5)

図4 MAFシリーズとチップバリスタによるマイクロフォンラインのノイズ対策
図4 MAFシリーズとチップバリスタによるマイクロフォンラインのノイズ対策
図5 MAFとチップバリスタのフィルタ回路によるTDMAノイズの抑制効果
図5 MAFとチップバリスタのフィルタ回路によるTDMAノイズの抑制効果

ノイズサプレッションフィルタとチップバリスタの併用による受信感度改善とESD(静電気放電)対策

モバイル機器内に内蔵されているアンテナとマイクロフォンやスピーカーなどのオーディオラインは近接しています。このため、アンテナとオーディオラインが結合して、セルラーやWiFi通信の受信感度の低下を引き起こします。(図6)

図6 アンテナとマイクロフォンラインの結合
図6 アンテナとマイクロフォンラインの結合

そこで受信感度の改善策としてアンテナとオーディオライン間をアイソレーションする方法があげられます。TDKがオーディオライン用ノイズサプレッションフィルタとして新開発したMAFシリーズを使用することにより、結合する回路のインピーダンスが高くなります。その結果アンテナとオーディオライン間をアイソレーションすることができ、受信感度を改善することが可能となります。(図7)

図7 MAFシリーズの挿入損失-周波数特性と受信感度改善効果
図7 MAFシリーズの挿入損失-周波数特性と受信感度改善効果

またTDMA対策と同様にチップバリスタをMAFシリーズと併用することにより、ESD対策とともにより効果的な受信感度の改善を実現します。(図8)

図8 チップバリスタ併用による受信感度向上効果
図8 チップバリスタ併用による受信感度向上効果

まとめ

ここまで説明してきたノイズサプレッションフィルタMAFシリーズそしてチップバリスタAVRシリーズの使用によって以下の効果が得られます。

●TDMAノイズの抑制
●セルラーやWiFi通信の受信感度改善
●低THD+N特性のため低歪、また低抵抗のため信号の劣化が少なく高音質を実現
●ESD対策とノイズ抑制の両立(チップバリスタ)

マイクロフォンラインのTDMAノイズ対策、受信感度改善及びESD(静電気放電)対策に向けた推奨製品

マイクロフォンラインのセルラーバンド(700MHz~1GHz、1.5GHz~2.8GHz)およびWiFi(2.4GHz、3~5GHz)のTDMAノイズ対策、受信感度改善、ESD対策用として、TDKが推奨するMAFシリーズとチップバリスタAVRシリーズの製品の組み合わせ例を以下に示します(図9)。
MAFシリーズはRdc(直流抵抗)が低いため、セルラー帯対策用+WiFi対策用、あるいは2.4GHz帯WiFi対策用+3~5GHz帯WiFi対策用など、2種のMAFを直列接続して使用することもできます。目的に合わせてお選び下さい。

図9 マイクロフォンラインにおけるMAFとチップバリスタAVRの組み合わせ例
図9 マイクロフォンラインにおけるMAFとチップバリスタAVRの組み合わせ例

[関連ページ]D級アンプ用推奨製品(ノイズサプレッションフィルタ、LPF用インダクタ、チップバリスタ)

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