インダクタ(コイル)

テックノート

ソリューションガイド

DC-DCコンバータの静音化ソリューション パワーインダクタの音鳴き対策

ノートパソコンやタブレット、スマートフォン、テレビ、車載電子機器などにおいて、稼働中に「ジー」という音ノイズが聞こえることがあります。これは「音鳴き(鳴き、音鳴り)」と呼ばれる現象で、コンデンサやインダクタといった受動部品が要因となっている場合があります。コンデンサとインダクタでは発生の原理が異なりますが、とりわけインダクタの音鳴きはさまざまな要因が絡みあっていて複雑です。本記事ではDC-DCコンバータなどの電源回路の主要部品であるパワーインダクタの音鳴きの原因および効果的な対策についてご紹介します。

目次
  • パワーインダクタの音鳴きの要因
  • パワーインダクタ本体の振動および音ノイズ増幅のメカニズム
    • 振動を発生させる各種要因と作用
      • 振動要因①:磁性体コアの磁歪(磁気ひずみ)
      • 振動要因②:磁性体コアの磁化による引き付けあい
      • 振動要因③:漏れ磁束による巻線の振動
    • 音ノイズを増幅させる各種要因
      • 音ノイズの増幅要因① 他の部品との接触
      • 音ノイズの増幅要因① 他の部品との接触
      • 音ノイズの増幅要因③ 基板を含めたセット全体の固有振動数に一致
  • パワーインダクタの音鳴き対策
    • ポイント1:可聴周波数の電流を流さない
    • ポイント2:周囲に磁性体を配置しない
    • ポイント3:固有振動数をずらす
    • ポイント4:金属一体成型タイプへの置き換え
    • フルシールドタイプと金属一体成型タイプの音ノイズの比較

パワーインダクタの音鳴きの要因

間欠動作、周波数可変モード、負荷変動などが、可聴周波数の振動を発生

音波は空気中を伝わる弾性波であり、人間の聴覚では約20~20kHzの周波数領域が「音」として聞こえます。DC-DCコンバータのパワーインダクタにおいては、可聴領域の周波数の交流電流やパルス波が流れると、インダクタ本体が振動することがあり、これが「コイル鳴き」などとも呼ばれる音鳴きとして聞こえることがあります(図1)。

図1:パワーインダクタの音鳴きのしくみ

図1:パワーインダクタの音鳴きのしくみ

電子機器の高機能化とともにDC-DCコンバータのパワーインダクタも、音ノイズの発生源の一つとなっています。DC-DCコンバータはスイッチング素子によるON/OFFによりパルス状の電流をつくり、そのON時間の長さ(パルス幅)を制御することで、一定電圧の安定した直流電流を得ています。これをPWM(パルス幅変調)といい、DC-DCコンバータの主流方式として広く採用されています。

ただし、DC-DCコンバータのスイッチング周波数は、数100kHz~数MHzと高く、この周波数の振動は人間の可聴領域を超えているので、音ノイズとして聞こえません。では、なぜDC-DCコンバータのパワーインダクタが、「ジー」という音鳴きを発生するのでしょうか?