FAQ
Q.
静電容量の周波数特性グラフを見ると、ある周波数になると容量値が急に無くなっています。実際に容量は無くなっているのですか。
  • コンデンサ(キャパシタ)
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  • 積層セラミックチップコンデンサ


A.

図1

図1

実は、容量値は直接測定することが出来ないのです。そのためESR(等価直列抵抗)とXs(合成インピーダンス)を測定して、そこから容量値を近似式により算出しているのです。
近似式
  

近似式

この近似式は自己共振周波数近くまでは成り立つのですが、自己共振周波数周辺およびそれ以上の周波数領域では使えません。このことがグラフ上で容量が急に無くなったように見える原因です。実際には無くなっていないのでご安心ください。
図2に積層セラミックコンデンサ(以下MLCCと表記)の一般的な等価回路を、式1にその等価回路のインピーダンスを示します。
また図3に一例としてC1608JB0J106Mの周波数/インピーダンス特性を示します。
図2

図2

式1

Zs: トータルのインピーダンス
ESR: 等価直列抵抗
ESL: 等価直列インダクタンス
Xs: インダクタンス成分:2πf・ESL (*1)と容量成分:1/(2πf・C) (*2)による合成インピーダンス
j: √-1

図3 C1608JB0J106Mの|Z|/f特性

図3 C1608JB0J106Mの|Z|/f特性

理想のコンデンサでは、周波数が高くなるとインピーダンスは周波数に反比例して低くなりなります。しかし実際のMLCCは図2のように容量成分以外にインダクタンス成分や抵抗成分を含んでおり、自己共振周波数を超える領域ではこのインダクタンス成分が支配的となるため周波数に比例してインピーダンスが高くなります(図3)。
共振周波数より十分に低い領域では、容量成分(*2)が圧倒的に大きく、インダクタンス成分は無視できるため、Xs≒-1/(2π*f*C)の近似式が成り立ちます(図3の左側の領域)。静電容量値はこの式から逆算されます。つまりC=-1/(2πf*Xs)です。しかし自己共振周波数以上の高周波領域ではトータルのインピーダンスZsは、インダクタンス成分によるインピーダンス2π*f*ESL(*1)が支配的になり、C=-1/(2πf*Xs)の式が使えず容量を求めることはできません。そのために自己共振周波数近傍およびそれ以上の周波数帯では、値の急変が起こり容量が無くなったように見えるのです。


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