積層型リード付きコンデンサ

ソリューションガイド

積層型リード付きコンデンサによる各種ソリューションガイド

積層型リード付きコンデンサによる各種ソリューションガイド 概要

プリント基板に実装される電子部品は、SMT(表面実装技術)に対応したSMDタイプが主流となっています。なかでも主要受動部品として多用されるMLCC(積層セラミックチップコンデンサ)は、電子機器の小型・軽量化に大きく貢献してきました。その一方で、従来型のリード付きタイプのセラミックコンデンサもまた、その特長や持ち味を生かして、さまざまな用途で活躍しています。さらに、近年は過酷な条件で使用される車載用途などにおいて、SMDタイプのコンデンサの弱点を補うソリューションとして積層型リード付きコンデンサがあらためて注目されています。TDKはこうした先進の市場ニーズに応え、車載電装機器をはじめとする高信頼性が求められる用途向けの積層型リード付きコンデンサとして、新たにハロゲンフリーの新シリーズを提供しており、音鳴き対策、基板たわみ対策およびDCモータのノイズ対策などに、きわめて効果的なパフォーマンスを発揮します。

いま、あらためてリード付きコンデンサが注目される理由

リードは"無用の長物"ではなく、さまざまな機能とメリットをもたらします

一般にリード付き電子部品は一昔前の実装技術に対応した製品と認識されています。確かに小型化や省スペースの面では、リードは"無用の長物"のようにみなされます。しかし、リードがないことはSMD部品の長所ですが、同時に弱点にもなっています。リード付き部品にはSMD部品では実現できないさまざまな特長があり、SMD部品が抱える根本的な問題を解決する効果的なソリューションとして再評価されるようになりました。

積層型リード付きコンデンサの外観と構造

積層型リード付きコンデンサは、MLCCの外部電極に2本のリード線をはんだ接合して樹脂コーティングした構造のラジアルリードタイプのセラミックコンデンサです(図1)。MLCCならではの特性に加えて、リード線による機械的・熱的ストレスの緩和、樹脂コーティングによる絶縁性および湿度遮蔽効果などのメリットを合わせもつコンデンサです。積層型リード付きコンデンサによる具体的なソリューション例を以下にご紹介いたします。

図1:積層型リード付きコンデンサ (FGシリーズ/FAシリーズ) の外観と構造

図1:積層型リード付きコンデンサ (FGシリーズ/FAシリーズ) の外観と構造

音鳴き対策

セラミックコンデンサに使用される誘電セラミックスは、電圧が加わると外形がわずかながら変化する電歪(でんわい)効果という性質があります。交流電圧の印加によりコンデンサ素体が伸縮するため、プリント基板にはんだ接合されたMLCCが基板を振動させることで、「ジー」という可聴音を発することがあります。これを「音鳴き」といいます。積層型リード付きコンデンサでは、コンデンサ素体の伸縮はリードによって緩和されるため、MLCCの音鳴き問題への有効なソリューションとなります。

基板たわみ対策

機械的・熱的ストレスなどによる基板のたわみが、基板に実装されたMLCCのはんだ接合部にクラックなどを発生させる問題があります。積層型リード付きコンデンサのリードは、基板たわみによる応力を効果的に吸収し、たわみクラックの発生を抑えます。

フィルムコンデンサからの置き換え

TDKの積層型リード付きコンデンサC0G特性品は、低誘電率系(種類1)で最も厳しいEIAのC0G規格を満たすもので、DCバイアスによる静電容量変化率がきわめて小さく、かつ温度特性も非常にフラットであるため、フィルムコンデンサからの置き換えが可能です。また、フィルムコンデンサよりも形状が小さく、小型・省スペース化および高さ制限のある部位での使用に大いに効果的です。

エンジンルームなどの高温環境対応

車載電子機器は酷寒から灼熱までの温度環境で使用されます。とりわけ、エンジンルームやエンジン直近に置かれるECU(電子制御ユニット)などでは、150℃もの高温保証が求められます。TDKの積層型リード付きコンデンサの車載グレードFAシリーズは、AEC-Q200に対応するとともに、NP0特性およびX8R特性にて、150℃高温保証製品を幅広くラインアップしています。
*NP0特性(-55~+150℃において、容量温度係数0±30ppm/℃)、X8R特性(-55~+150℃において、容量変化率±15%)

車載DCモータのノイズ対策① 積層型リード付きコンデンサによるソリューション

パワーウィンドウや電動ミラーなど、自動車の電装化とともに昨今の自動車には多いもので100個以上の小型DCモータが使用されています。このDCモータはブラシタイプであるため、回転にともなってブラシとコミュテータ(整流子)の接点からノイズが発生します。このノイズの抑制には、溶接やかしめで簡便・確実・コンパクトに接続できる積層型リード付きコンデンサが効果的です。プリント基板を使わない部位でも対応できるのは積層型リード付きコンデンサならではの特長です。

車載DCモータのノイズ対策② リングバリスタとの組み合わせによるソリューション

TDKはリングバリスタと積層型リード付きコンデンサを併用した、より効果的な車載モータ用のノイズ対策もご提案しています。リングバリスタと積層型リード付きコンデンサの双方を製造して提供しているのはTDKの強み。豊富な製品ラインアップからお客様のご要望に応じたソリューションをご提供いたします。

1.音鳴き対策へのソリューション

基板の音鳴き対策としての積層型リード付きコンデンサの優位性

セラミックコンデンサの音鳴きは、コンデンサの素体である誘電体セラミックスの電歪効果によるものです。これは強誘電体を用いた高誘電率系(種類2)のセラミックコンデンサにおいて顕著に現れます。
電歪効果は逆圧電効果とも呼ばれます。圧力を加えて外形を歪ませると電圧が発生する現象が圧電効果であり、電歪効果はこれとは逆に電圧を加えると外形が変化する現象です。誘電体セラミックスは多数の微細な誘電体の結晶からなる多結晶体で、それぞれの結晶粒は電気的に分極しやすい方向をもっています。その方向はバラバラですが、電圧が加わると方向をそろえようとするため外形が歪み、交流電圧を加えると伸縮を繰り返します(図2)。このため、基板にはんだ接合されたMLCCでは、コンデンサ素体の伸縮が基板を振動させ、あたかもフラットスピーカーのように、「ジー」という連続的な可聴音を発生することがあるのです(図2)。

図2:セラミックコンデンサの音鳴きの原因と積層型リード付きコンデンサによるソリューション

図2:セラミックコンデンサの音鳴きの原因と積層型リード付きコンデンサによるソリューション

実際の音鳴きの強度はさまざまなレベルであるため設計段階ではわからず、試作基板を作成した時点で初めて顕在化することもあり、出荷直前の短い時間内で対策が求められるケースがしばしば発生します。積層型リード付きコンデンサはコンデンサ素体の伸縮をリードが吸収して緩和するため、このような場合において、MLCCと置き換えることできわめて簡便で効果的なソリューションとなります。
図3は、同じMLCCを用いたSMD部品とリード付き部品の音鳴き強度を比較したものです。リード付き部品では、どの周波数でも音鳴きレベルが低く抑えられていることがわかります。特に可聴域である3kHz、5kHzでの減少が目立ちます。

図3:MLCCと積層型リード付きコンデンサの音鳴き強度の比較

図3:MLCCと積層型リード付きコンデンサの音鳴き強度の比較

2.基板たわみ対策へのソリューション

引っ張り強度に弱いMLCCをサポート

基板たわみによる応力がSMD部品のはんだ接合部にクラックなどを発生させることがあります(図4左)。とりわけMLCCのコンデンサ素体である誘電体セラミックスは圧縮応力には強いものの、引っ張り応力には弱いという性質があり、実装部位における基板の曲げ応力がコンデンサ素体そのものにクラックを発生させることもあります。コンデンサ素体のクラックは、オープン不良(内部電極の断線)の場合は性能低下、ショート不良(内部電極の導通)の場合は発熱、発煙、発火などを引き起こす可能性があります。また発生当初はオープン不良であっても、使用を続けている間にショート不良へ進行するケースもあります。
振動や衝撃といった機械的ストレス、激しい温度変化による熱ストレスなどにさらされる車載電子機器において、こうした基板たわみ問題に対する効果的なソリューションとなるのがMLCCから積層型リード付きコンデンサへの置き換えです。基板曲げ応力はリード線に吸収されるので、リード線にはんだ接合されたMLCCへの影響は緩和されます(図4右)。またキーレスエントリー・スマートエントリーなど、落下による衝撃が高頻度で起こりうる電子機器においても、積層型リード付きコンデンサは高い信頼性を保持します。

図4:SMD部品とリード付き部品の基板曲げ応力の加わり方

図4:SMD部品とリード付き部品の基板曲げ応力の加わり方

3.フィルムコンデンサからの置き換えに関するソリューション

優れた特性を大幅な省スペースで実現

TDKの積層型リード付きコンデンサC0G特性品は、温度補償用として最も厳しいEIAのC0G特性(-55~125℃の温度範囲において、容量温度係数は0±30ppm/℃)を満たすとともに、以下の特長を有しています。

《積層型リード付きコンデンサC0G特性品の特長》
●C0G特性でありながら高い静電容量を実現
●フィルムコンデンサよりも良好な耐湿性
●フィルムコンデンサと同等以上の温度特性
●DCバイアス特性の電圧依存性がない
●極性がない

これらの特長により、車載用途のみならず、スイッチング電源のバイパスコンデンサや平滑コンデンサ、スナバ回路、PFC入力フィルタなど、さらなる小型・省スペース化が求められる部位や高さ制限のある部位などでの使用にきわめて効果的です(図5)。

図5:フィルムコンデンサからの置き換えによるメリット

図5:フィルムコンデンサからの置き換えによるメリット

4.車載DCモータのノイズ対策① 積層型リード付きコンデンサによるソリューション

プリント基板を使わず簡便・確実・コンパクトに搭載

ワイパはもとより、パワーウィンドウ、電動ミラーなど、利便性や安全性などを高めるために、近年の自動車には多いもので100個以上の小型DCモータが利用されるようになっています(図6)。そのほとんどがブラシ付きDCモータであり、作動中はブラシとコミュテータ(整流子)の接点から広帯域のノイズが発生します。コミュテータはロータの回転に応じて電流の向きを切り替える装置ですが、電流がOFFとなる瞬間に自己誘導作用により巻線に大きな逆起電力が発生して、サージやノイズの原因となるのです。このため無対策のままでは、たとえばワイパを作動するたびにラジオに雑音が入るなど、車載電子機器に悪影響を及ぼすことがあります。
こうしたDCモータのノイズ対策としてコンデンサやインダクタが使われますが、SMD部品を実装するためにプリント基板を使用すると、スペースやコスト、配線によるノイズ除去効果の低下など、さまざまな問題が発生します。かたやリード付き部品では、溶接やかしめの方法で簡便・確実・コンパクトに搭載でき、スペースやコストの問題を解決できるかもしれません。プリント基板を使用しない部位にも対応できるというのはリード付き部品ならではの優位性です。
また、パワートレイン系、走行・操舵系などのモータユニットは、エンジンルーム内に置かれるものが多く、150℃対応の電子部品のニーズが高まっています。TDKでは150℃対応の積層型リード付きコンデンサをはじめ、数多くの車載グレード150℃対応製品をラインアップしています。

図6 :自動車に使用される小型DCモータの用途

図6 :自動車に使用される小型DCモータの用途

図7に小型DCモータへの積層型リード付きコンデンサの搭載例を示します。狭いブラシホルダーに2個の積層型リード付きコンデンサがコンパクトに溶接で接続されています。過酷な条件で使用される車載DCモータでは、耐候性や耐湿性、耐振・耐衝撃性など特に高い信頼性が求められますが、樹脂コーティングされた積層型リード付きコンデンサはこうした要求にも応えるシンプルで無駄のないソリューションとなります。

図7:車載 DCモータのノイズ対策用コンデンサ

図7:車載 DCモータのノイズ対策用コンデンサ

5.車載DCモータのノイズ対策② リングバリスタとの組み合わせによるソリューション

きわめて厳しいノイズ規制CISPR25 Class5もクリア

ブラシ付きDCモータのノイズ対策として、積層型リード付きコンデンサとリングバリスタを組み合わせることでさらなる効果が期待できます。バリスタは特殊な半導体セラミックスを用いた回路保護素子で、ESD(静電気放電)や雷サージなどから電子機器を保護するために搭載されます。リングバリスタは円板状のバリスタ素体の表面にスリットの入った電極を取り付けた素子で、DCモータのコミュテータ(整流子)部に組み込まれます。コミュテータの回転にともない、ブラシとの接点が開放されるたびに巻線の自己誘導作用により大きなサージ電圧が生まれますが、リングバリスタはこのサージを吸収します(図8)。
TDKでは小型DCモータ用の各種リングバリスタをVAR-18シリーズとして提供しています。このリングバリスタと積層型リード付きコンデンサなどを組み合わせてノイズ対策をすることで、きわめて厳しい自動車の国際EMC規格であるCISPR25 Class5へも対応可能となります(図9)。

図8:DCモータ用リングバリスタの構造と原理

図8:DCモータ用リングバリスタの構造と原理 TDKのリングバリスタ (VAR-18シリーズ)
図8:DCモータ用リングバリスタの構造と原理
リングバリスタ

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図9:積層型リード付きコンデンサとリングバリスタを組み合わせたモータ用ソリューション

図9:積層型リード付きコンデンサとリングバリスタを組み合わせたモータ用ソリューション

図10は積層型リード付きコンデンサとリングバリスタの車載DCモータへの採用例です。おおむねモータ径30~40mmを境に、リングバリスタは小型モータへ、積層型リード付きコンデンサは比較的大きなサイズのモータに使用されています。自動車のノイズ規制は今後さらに厳しくなることが予測されており、積層型リード付きコンデンサとリングバリスタの併用というモータノイズ・ソリューションには大きな期待が寄せられています。リングバリスタと積層型リード付きコンデンサの双方を製造しているのは電子部品・デバイスメーカーであるTDKの強み。豊富な製品ラインアップからお客様のご要望に応じた最適ソリューションをスピーディにご提供いたします。

図10:積層型リード付きコンデンサとリングバリスタの車載モータへの採用例

図10:積層型リード付きコンデンサとリングバリスタの車載モータへの採用例
リングバリスタ

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おおむねモータ径30~40mmを境に、リングバリスタは小型モータに、 積層型リード付きコンデンサは比較的大きなモータに使用されています。
これらを併用することで極めて優れたノイズ抑制効果が得られます。

積層型リード付きコンデンサによる各種ソリューションガイド まとめ

積層型リード付きコンデンサはMLCC(積層セラミックチップコンデンサ)にリード線をはんだ付けし、MLCC部を樹脂コーティングしたタイプのセラミックコンデンサです。MLCCが樹脂で覆われているため、絶縁性や湿度遮蔽効果などに優れるとともに、リード付きという構造は機械的・熱的ストレスの緩和に高い効果を発揮し、音鳴き対策、基板たわみ対策などのソリューションとして最適です。またプリント基板を必要とせず、溶接やかしめなどで取り付けることができるため、車載用小型DCモータのブラシホルダーに内蔵させることで、省スペース・低コストのノイズ対策が実現し、リングバリスタと組み合わせることで、その効果は一層高まります。さらにDCバイアス特性や温度特性に優れるC0G特性品は、フィルムコンデンサからの置き換えを大幅な省スペースで実現します。積層型リード付きコンデンサならではの特長と持ち味を、お客様の製品に活用してみてはいかがでしょうか。

《積層型リード付きコンデンサFGシリーズ/FAシリーズの主な特長・用途》
【主な特長】
  • ハロゲンフリー対応
  • 充実した製品ラインアップ
  • 一般グレードFGシリーズ:定格電圧6.3V~630V、静電容量1pF~100μF
  • 車載グレードFAシリーズ:定格電圧25V~630V、静電容量1pF~22μF
  • NP0特性、X8R特性のそれぞれで過酷な温度環境にも耐えられる150℃保証を実現
  • 車載グレードFAシリーズはAEC-Q200対応
【主な用途】
  • 車載DCモータのノイズ対策
  • 音鳴き対策
  • 基板たわみ対策
  • キーレスエントリーなどの共振回路
  • スイッチング電源などのバイパスコンデンサ、平滑コンデンサ
  • スナバ回路
  • PFC入力フィルタ など

積層型リード付きコンデンサFGシリーズ/FAシリーズ 製品ラインアップ(2016年5月現在)

積層型リード付きコンデンサFGシリーズ/FAシリーズ 製品ラインアップ
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