ネオジム磁石の高特性化 HAL(High Aniso.field Layer)工法

脱サマリウム・脱コバルトの組成探求から生まれたネオジム磁石

初の希土類磁石は1960 年代に開発されたサマリウム・コバルト磁石です。それまで最強を誇っていた合金磁石(アルニコ磁石)の特性を大きくしのぐ画期的な新磁石として華々しくデビュー。世界的なヒット商品となったポータブルオーディオプレーヤなど、電子機器の小型・軽量化を牽引しました。しかし、サマリウムは産出量の少ない希土類元素であるうえ、コバルトも産地が局在して供給不安があるため、新たな組成の希土類磁石が世界中の研究者たちによって探求されました。

こうして開発されたのが、サマリウム、ネオジム、コバルトのかわりに安価な鉄を用いたネオジム磁石です。ネオジムは希土類元素ながら、地殻中にはセリウム、ランタンに次いで3 番目に多く、産出量はサマリウムの10 倍以上もあるからです。

磁石に吸いつく性質を強磁性といいます。鉄族元素(鉄、コバルト、ニッケル)は代表的な強磁性元素ですが、希土類元素の中にも強磁性を示すものがあります。磁石の磁性のルーツは電子の磁気モーメントです。鉄族元素は3d 軌道の電子の磁気モーメントが磁石の磁性の担い手になりますが、希土類元素では4f 軌道の電子が関与します。鉄族元素の3d 電子と希土類元素の4f 電子の双方の働きをうまく取り入れたのが希土類磁石です。

ネオジム磁石は、ネオジム・鉄・ボロンが2:14:1 という比率を基本組成とする3 元系の金属間化合物です。非磁性元素のボロンは鉄の原子間距離をわずかに広げる役割を果たします。この絶妙な原子間距離により、電子の磁気モーメントの向きが固定化され、強力な磁石となります。

希土類磁石の開発経過
ネオジム磁石の製造工程
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