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A.モーターを接続する場合、以下のような影響が出る可能性があります。
・モーター起動時の電流が電源の定格電流を超える場合、電源の過電流保護動作によって出力低下などが生じます。
これを防ぐため、モーターの起動電流値よりも大きい定格電流値の電源を選定してください。
・モーターの逆起電圧によって、電源の出力電圧上昇による電源の過電圧保護動作や、電源の出力低下などが生じます。
これらを防ぐため、逆流防止ダイオードを挿入してください。
なお、出力低下のメカニズムは下記の通りです。
モータ駆動用途として標準スイッチング電源を使用する場合、モータの停止時にコイルのインダクタンスにより逆起電力が発生し、電源の出力低下などの不具合を起こす可能性があります。
この現象は電源内部に独立した補助電源を持たない、主に300W未満の出力容量タイプが対象となります。
図1 ブロック図(例)
電源起動時は整流回路から高調波電流抑制回路を経て平滑回路の入力コンデンサ(C1)の両端に約DC370Vの昇圧電圧が掛かります。さらに、そこから起動抵抗R1を介してPWM制御IC(以下IC)のVCCに電圧が供給されます。このVCCがICの起動開始電圧以上になりICが動き始めるとMOS FET(Q1)がスイッチングを開始します。その後、ICの駆動電圧はメイントランスの補助巻線タップ(巻線3)から供給を受けます。つまり、R1を介した電圧は起動時のIC立上げのみに使われることになります(定常動作)。ではモータ停止時に出力電圧が低下するメカニズムを、図2のブロック図内の各部波形で説明します。
図2 モータ停止時の各部波形
電源の定常動作においてモータが停止すると逆起電力が発生します。電源の2次側に逆起電流が流れ込み出力電圧が上昇、ICは出力電圧の上昇を検出し出力電圧を下げるためパルスを狭めようとしますが制御系の遅れにより即座にパルスを狭めることができず、出力電圧が定格電圧を超えてしまう現象が生じます(①)。
その後、電源2次側に出力コンデンサ(C2)があるため、出力電圧がすぐに定格電圧まで戻ることはなく、ICはしばらくの間パルスを閉じたままの状態となります。
一方、ICのパルスが閉じるとQ1が動作しなくなり、メイントランスの補助巻線タップからの電圧供給が途絶えます。よって、VCCは徐々に低下します(②)。さらにICの停止電圧までVCCが下がると(③)再起動モードとなり、再度起動抵抗R1を介してICのVCCに電圧が供給されますのでICの起動電圧まで上昇するためには数十msの時間を必要とします(④)。よって、その間は出力電圧が低下してしまいます(⑤)。
これらの理由によりスイッチング電源にモータ負荷を接続する場合は逆起電力により電源出力端の電圧が上がらないようにする必要があるため、逆電流防止用のダイオードを電源外部に接続することを推奨します。