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再生可能エネルギー用パワーコンデンサ

                   
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再生可能エネルギー発電システムの設置容量は、この数十年間で指数関数的に伸びています。地球温暖化や脱化石燃料の動きが本格化するなか、向こう数年で再エネシフトがいっそう加速し、発電設備の開発が一気にすすむことが見込まれます。
風力発電/太陽光発電システムの基幹部を担っているのは、高パワーのAC-DC、DC-AC変換器です。こうした変換器には、ACフィルタリング用や、DCリンク回路の電圧安定化用に、信頼性の高いパワーコンデンサを組み込む必要があります。TDKでは、こうした用途向けにカスタマイズされ、幅広い対応電圧と静電容量を備えた各種パワーコンデンサをフルラインアップで提供しています。

概要

再生可能エネルギーシステムは、さまざまなコンポーネントや機械的・電気的接続で構成されています。これらが電力出力の制御や電力品質の改善をおこなうことで、発電した電気を直接使用したり、蓄電したり、連系する基幹系統に給電したりすることが可能になります。

風力/太陽光インバータは、直流電流を交流電流に変換する役割を担っています。近年は、こうしたパワーエレクトロニクスの設計者に課される技術的要求がますます大きくなっています――高効率化の実現はもちろんのこと、スイッチング故障、雷、アース不良などによる過電圧や過電流から回路を保護する機能を備え、各種安全規格も準拠する、高度に複雑な設計が求められるようになっているからです。さらに、長期安定性や信頼性の担保も重要な課題です。

TDKでは、多様な回路機能を備え、個別のアプリケーション要件に合わせてカスタマイズした特別仕様のパワーコンデンサ製品を提供しています。フィルム方式のコンデンサは、以下の点で、確かな性能をお探しのパワーエレクトロニクス設計者にとくに好適です。

  • 他技術のコンデンサと比べて高い定格電圧
  • 自己修復機能による高い過電圧耐性
  • 低ESR(等価直列抵抗)、低ESL(等価直列インダクタンス)
  • 高パワー動作(電流実効値[IRMS] vs 周波数)
  • 経時的・温度的に安定した電気的パラメータ

回路図

一般的な再生可能エネルギー発電システムに内蔵されるインバータには、AC-DC電圧変換時に生じるリプル電流を抑えるためのDCリンクコンデンサが必要です。パワーエレクトロニクスのトポロジーに応じて、必要な電気的パラメータに対応するDCリンクコンデンサを用いることができます。

図1

特性比較

表1
タイプ/
シリーズ
MKP DC 標準品 MKP DC 樹脂トップ MKP DC メタルトップ ModCap™ MF ModCap™ HF
B2562* シリーズ B2569* シリーズ B2568* シリーズ B25645* シリーズ B25647* シリーズ
定格静電容量(µF) 40 - 4000 40 - 5500 60 - 4000 335 - 3900 660 - 1900
電圧(V DC) 700 - 2000 700 - 3000 900 - 3000 900 - 2300 900 - 1600
動作温度(最大) 85 °C 85 °C 85 °C 90 °C 90 °C
ESL
(等価直列インダクタンス)
< 20 nH に対応可
(高さおよび直径に応じて)
< 20 nH に対応可
(高さおよび直径に応じて)
< 10 nH
(4端子コンデンサ)
< 14 nH 8 nH
外形寸法 75, 85, 116 mm (直径)
70...345 mm (高さ)
75, 85, 100, 116, 136 mm (直径)
95...370 mm (高さ)
85, 116, 136 mm (直径)
99...368 mm (高さ)
205, 220 mm (奥行)
90, 115 mm (幅)
170, 215 mm (高さ)
205, 220 mm (奥行)
90, 115 mm (幅)
170, 215 mm (高さ)
規格 IEC 61071
UL 準拠
IEC 61071
UL 準拠
IEC 61071 IEC 61071, IEC 61881-1
UL 準拠
IEC 61071, IEC 61881-1
UL 準拠
EN 45545
(欧州防火規格)
HL3 R23 (火災/発煙) HL3 R23 (火災/発煙) HL3 R23 (火災/発煙)
ケース アルミニウム アルミニウム アルミニウム
過酷環境対応の気密封止
プラスチック プラスチック

小型・高エネルギー密度

市場では、搭載インバータの小型・軽量化による、システム全体の容積対重量比の最適化が明らかにすすんでいます。こうした市場トレンドは、DCリンクコンデンサの設計にも直接的な影響を及ぼしており、いまや小型化がパワーコンデンサの必須要件となっています。

DCリンクコンデンサの小型化は、適切な巻線技術を用いて、内部容積を最適化することで実現できるでしょう。小型化を実現するもう一つの有効な手段に、誘電体フィルムの厚みを薄くすることがあります。これには、厚みあたりの耐電圧(V/µm)の大きいフィルム――つまり、薄くても強いフィルムの使用がカギとなります。

図2

太陽光/風力発電の高効率化

  • 太陽光発電システム
    太陽光発電システムは低コスト化圧力が強いため、搭載インバータには今後ますます、高効率(高性能のもので98%近く)、長寿命が強く要求されるようになります。そのため、低ESR・低ESLで、コストを最適化した標準品への需要が高まっています。内蔵コンデンサは、高周波数帯に対応するよう最適化されていなければなりません。

  • 風力発電システム
    風力発電についても、コスト圧力が強く、公称電圧の増加(洋上風力発電ではとくに高パワーのインバータが求められる)、軽量化がすすむ傾向にあるため、低ESR・低ESLが重要なパラメータとなります。
    いずれのアプリケーションにおいても、高電流密度は必須要件です。