TMRセンサによる外乱磁場ノイズに
対応した角度検知

外乱磁場ノイズによる精度の悪化は磁気センサに共通した課題です。外乱磁場ノイズ源と磁気センサの距離を確保したり、磁気シールドを配置する場合は、設計上の大きな制約となりシステムの高コスト化につながります。また、対策効果とコストのバランスを調節しながら適切な設計を選択することが困難でした。
TDKではその解決策として、複数センサにより外乱磁場ノイズ信号を抑制する方法を提案しています。下記の「対策方法概要」では、信号磁場に対して逆位相出力となる2つのセンサの出力差を利用することで外乱磁場ノイズの影響を相殺しています。
使用するセンサ数の選択により、想定される外乱磁場ノイズと許容できる角度誤差を考慮しながら、合理的な対策を選択できます。

対策方法概要

・磁石からの信号磁場に対して互いに180度逆位相出力となる位置 (Position1と2)に2つのセンサを配置する。この際、外乱磁場ノイズに対しての2つのセンサ出力は、ほぼ同相・同レベルである。

・差動出力を利用することにより、信号出力は増大し、外乱磁場ノイズによる影響は相殺される。

off-axis 8センサー配置

センサ数による効果比較

センサ数による効果比較表

ターゲットとする精度、改善したい角度誤差の原因に応じて、使用するセンサの数、配置の調整が可能
※当社シミュレーション条件において (磁石Br : 270mT、外乱磁場強度: 5mT)

計算方法(Off-Axis配置)

SFI対策 評価基板 TMRセンサ―
計算方法 ステップ1から4
  • Step1 : 隣接する2つのセンサのSin, Cos出力を足し合わせる
     - S12 = S1 + S2, 同様にして S34, S56, S78
     → Off-Axis角度検出で発生する2次高調波成分の歪みを抑制
  • Step2 : Step1で求められた隣接する2つのセンサ出力の和について、差分を求める
     - S34 – S12 = S1234, S78 – S56 = S5678
     → 外乱磁場耐性を高める
  • Step3 : S1234とS5678からAtanを計算
     - 内側センサから求められる角度θ1234
     - 外側センサから求められる角度θ5678
  • Step4 : 内側センサと外側センサの検出角度値の比較
     - 外側センサは内側センサの1/2の磁場強度
     - 外乱磁場に対し、θ1234はθ5678の2倍の精度
     - したがって、2 x θ1234 – θ5678 = θ12345678
     → さらに外乱磁場耐性を高めることが可能
block diagram with 8 sensors

8センサ計算時のブロック図

用語解説

外乱磁場ノイズ : とは

目的の磁場以外から悪影響を与える磁場を指します。この対策の意味で浮遊磁場耐性 (Stray Field Immunity) という言葉が使われます。

SFI : とは

Stray Field Immunityの略。 浮遊磁場耐性

電気角 : とは

センサの出力が一周期となる角度を360度とした角度のこと。磁石の2極のなす角が一周期に相当する。

関連情報

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