次世代パワー半導体における課題とMLCCの活用
アプリケーション & 使用例
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アプリケーションノート

次世代パワー半導体における課題とMLCCの活用

電気自動車やサーバーなどにおいて大電力化が進んでいますが、これらのアプリケーションにおいて近年SiCやGaNといったワイドバンドギャップ(WBG)パワー半導体の普及が進んでおります。これら次世代パワー半導体は高速スイッチングや低オン抵抗が特長であるため電子機器の小型化・高効率化に有用です。一方で、高速スイッチングで発生する過電圧(オーバーシュート)やリンギングにより、スイッチング素子の保護とEMI対策としてスナバ回路が重要になってきております。<br>
本アプリケーションノートでは、高電圧スナバ回路における積層セラミックコンデンサ(以下MLCC)の有用性と選定において考慮するべき内容およびTDKでの高dV/dtでの部品評価事例についてご紹介します。MLCCでスナバ回路をご検討の方は、ぜひご参考ください。
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次世代パワー半導体に伴う課題

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次世代パワー半導体では高速スイッチングが可能になる一方で、下記3点の課題が挙げられます。

課題①:ノイズ
    発生するノイズは高周波成分を含むため伝搬しやすく、EMI対策が必要です。
    主な要因はリンギングと過電圧です。
    特にリンギングは、スイッチングループにおける配線の寄生インダクタンスと、半導体素子が持つ寄生容量との共振によって発生します。

課題②:過電圧(オーバーシュート)
    過電圧は、急峻な電圧立ち上がり、すなわち高 dV/dt に伴って発生しやすくなります。
    
課題③:大電流による発熱
    高dV/dt、di/dt に起因する大電流と、MLCC の等価直列抵抗(ESR)により発熱が生じます。
    MLCC は温度上昇が適切な範囲内(ΔT ≦ 20℃)となるように使用することが求められます。

MLCCの発熱
図1:MLCCの発熱
スナバ回路のコンデンサのリンギング
図2:スナバ回路のコンデンサのリンギング
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次世代パワー半導体におけるスナバ回路におけるMLCCの有用性

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次世代パワー半導体である SiC や GaN では、小型化とサージ電圧抑制の両立が課題となります。これは、パワーモジュールの薄型化が進んでいることに起因します。MLCC は、無極性、小型・低背、低 ESL・低 ESR、高温環境への適用性といった特徴を持つため、スナバ回路において有力な選択肢となります。

MLCCの特徴①:無極性
    スナバ回路では電圧の極性反転が見られるため、無極性のフィルムコンデンサや MLCC が使用されます。

MLCCの特徴②:SMD・小型・低背
    MLCCはSMDに対応しており、小型・低背であることから、セットの小型化に貢献できます。
    
MLCCの特徴③:低ESL・低ESR
    低ESL・低ESRであることは、回路全体のインダクタンスを抑制し、効率的なノイズ除去に重要です。

MLCCの特徴④:125℃など高温環境への適応
    MLCCは、セラミックスでできているので比較的高温環境での使用に適しております。

MLCCによる小型,低背化
図3: MLCCによる小型,低背化
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MLCCによる小型,低背化
図4: 異種コンデンサ特性比較
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次世代パワー半導体におけるスナバコンデンサの選定方法

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次世代パワー半導体におけるスナバ回路では、過電圧抑制やノイズ低減を適切に行うために、MLCC の特性を踏まえた選定が重要となります。

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DCバイアス特性

図5:DCバイアス特性

・MLCC選定時のポイント1:Class1かClass2か?
MLCCのClass1はClass2より初期静電容量は小さいですが、電気特性の安定性に優れております。Class1の特徴はDCバイアス特性が良好で、電圧印加による容量変化が無く、容量の温度依存性も極めて小さいです。さらに、Class1はClass2に比べESRが非常に小さいため、損失が小さく、自己発熱を抑えられます。一方で、Class2は小型で初期静電容量が大きいですが、DCバイアスにより静電容量が減少します。Class2のESRは比較的小さいものの、Class1のMLCCよりも大きいため、自己発熱が急峻になる傾向があるため注意が必要です。

・MLCC選定時のポイント2:実使用電圧での静電実効容量が重要
Class2はDCバイアス特性を有しますので、動作時の静電容量である実効静電容量が重要です。静電容量不足の場合は動作の不安定化やノイズ除去不足が生じますので、実動作電圧において実効静電容量を考慮したアイテム選定をお願いします。

・MLCC選定時のポイント3:自己発熱ΔTは20℃以下
コンデンサは直流をブロックし、交流を通過させます。高周波ノイズ電流はMLCCを通り抜けることでGNDへと導かれます電流がコンデンサを通過すると、ジュール熱の公式よりW=ESR×I^2の熱損失が発生します。これが自己発熱です。コンデンサの自己発熱はMLCCの寿命に影響を与えるため、基板の放熱性も考慮して設計し、自己発熱20℃以内かつ保証温度以内になる設計をお願いします。

・MLCC選定時のポイント4:使用温度環境への配慮
スナバ用途では主に最高保証温度が125℃か150℃の製品から選択するのが一般的です。これはスイッチング素子近くや発熱部品近傍に配置する場合に素子のあおり熱の影響を考慮する必要があるためです。スナバ回路は電流が印加されるため、MLCCの自己発熱が生じますので、これらの熱要因を含めて、保証温度以内になるように設計して下さい。

・MLCC選定時のポイント5:定格電圧の選定
電圧波形の最大値(Vp-pまたはDC+サージ電圧のピーク値)が、定格電圧以内で選定する必要があります。
サージ電圧を含めてMLCCの定格電圧以内の設計をお願いします。
なお、耐電圧は雷サージなど単発の異常電圧に対する耐性であり、繰り返し印加される場合は定格電圧以内での設計が必要です。
Class1のC1005形状以上のMLCCでは、品名毎の最大許容電流/最大許容電圧グラフを提供しておりますので、ご活用下さい。

定格電圧に対する電圧印加パターン位置関係
図6:定格電圧に対する電圧印加パターン位置関係
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TDKの高dV/dtの部品評価事例

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このような高dV/dt・高di/dtなどの大電流が印加されるアプリケーションにおいてMLCCにどのような影響があるのかについて、お問い合わせをいただくことがあります。そのご要望にお応えするべく、TDKでは高dV/dt・高di/dtをMLCCに印加できる環境を構築しました。
構築した試験環境における評価事例として、あるサンプルに対して400V/us と4000V/usの異なるdV/dt条件で一定時間印加したサンプルを準備し、そのサンプルに交流電圧を印加しました。そして自己発熱を観測したところ、高dV/dtを印加したサンプルの方が温度上昇が大きくなる事象が確認されました。製品や印加条件によって傾向は異なりますが、MLCCの自己発熱の上昇は製品寿命に影響するため、このような実使用に近い電圧波形を印加しMLCCを評価することは重要です。

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昇圧速度別の電圧印加例
図7: 昇圧速度別の電圧印加例
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パルス印加条件と交流発熱
図8: パルス印加条件と交流発熱
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まとめ:次世代パワー半導体でのスナバ回路におけるTDKのサポート

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次世代パワー半導体の採用が進むことにより、高dV/dtに起因する過電圧の課題がより重要になっています。次世代パワー半導体の採用が進むことにより、高dV/dtに起因するサージ電圧の課題がより重要になっています。過電圧やEMI対策としてMLCCの検討が広がってきているため、本記事ではスナバ回路におけるMLCCの考慮すべき内容やTDKでの高dv/dtの評価事例について紹介しました。
TDKは、パワー半導体向けのノイズ対策部品をはじめ、高dV/dtが印加された場合のMLCCへの影響について評価する技術サポートを提供しております。パワー半導体のスナバコンデンサ選定でお困りの際は、部品提案から評価・検証まで、トータルでご支援します。パワー半導体の回路設計における信頼性向上やノイズ対策に向けて、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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