薄型EDLC
LEDフラッシュのアシスト電源などに多用されているTDKのEDLC
TDKではリチウムイオン電池の製造技術を応用展開し、パウチ型の小型タイプに特化したEDLCを提供しています。TDKのEDLCは薄型・大容量・低インピーダンスを特長とし、LEDフラッシュ向けを初めとして、各種電源のアシストに多用されています。EDLCはウェアラブルデバイスやIoTデバイスの二次電源などとしても期待されており、さらなる薄型化が求められています。こうした先進ニーズに応えて、TDKでは厚さわずか0.45mm(Max.)という業界最薄クラスのEDLCを新開発しました(図1)。
図1 新開発の薄型EDLC(EDLC041720-050-2F-13)
バッテリレスの次世代型スマートカードも可能
ICチップを内蔵したICカードが、従来の磁気カードにかわって、さまざまな用途で使われるようになりました。最近では電子ペーパーのディスプレイや操作ボタンを搭載した、利便性やセキュリティ性の高い次世代型スマートカードも登場しています。
NFC(近距離無線通信)を利用した非接触型のICカードシステムでは、リーダ/ライタから送られる13.56MHzの電磁波を利用して信号と同時にエネルギーを伝送し、ICチップの情報を書き換えます。ただし電子ペーパーのディスプレイ表示も書き換える際は数秒間を要するので、しばらくリーダ/ライタにかざし続けなくてはなりません。利便性維持のために次世代型スマートカードではエネルギー源の一次電池あるいは二次電池を搭載したものがありますが、電池の寿命や充電時間が必要となるのが難点です。この問題のソリューションとして期待できるのが、TDKが新開発した薄型EDLCです。カードをリーダ/ライタにさっとかざす間に表示書き換えに必要なエネルギーを急速に蓄えます。
ICカードは国際規格ISO/IEC7810により、長辺85.60mm、短辺53.98mm、厚さ0.76mmと定められています。新開発EDLCの0.45mmという薄さは、ICカードへの内蔵も可能にし、バッテリレスの次世代型スマートカードが実現します(図2)。
図2 バッテリレスの次世代型スマートカードの構成例
ICカードには、曲げやねじれなどに対する耐性も要求されます。TDKの薄型EDLCを内蔵させたサンプルによる試験では、最大たわみ量が長辺20mm/短辺10mmの動的曲げを表裏各250回・トータルで1000回繰り返しても機能を損ないません。また、15±1°の動的ねじれを1000回繰り返しても機能を損なわず、ICカードに要求されるISO/IEC規格の耐久試験を十分にクリアしています。
ウェアラブルデバイスやIoTデバイスにも効果的
TDKの薄型EDLCはリチウムイオン電池などとくらべて、安全性が高い蓄電デバイスであることも長所です。満充電の状態で釘などを貫通させても、発火・発煙などを起こさないため、身につけて使用するヘルスケアデバイスやウェアラブルデバイスに適しています。また、温度特性にもすぐれ、-20℃の低温から+60℃の広い温度範囲で動作可能です。このため、屋外で使用するIoTデバイスの二次電源、エネルギーハーベスティングデバイスにおける蓄電素子など、さまざまなアプリケーションに期待できます。
近未来のIoT社会のコアとなるのは、膨大な数のセンサからなるワイヤレス・センサネットワーク(WSN)ですが、センサ情報を電波で送るための電源が普及のためのボトルネックとなっています。エネルギーハーベスティングとEDLCの組み合わせは、バッテリレスのセンサデバイスを実現するきわめて効果的なソリューションとなります。
品番 | 公称静電容量 (mF)typ. |
公称インピーダンス [AC 1kHz] (Ω)typ. |
動作電圧[連続] (V) |
ピーク (V) |
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EDLC041720-050-2F-13 | 5 | 7 | 3.2 | 5 |
EDLC041720-100-2F-13 | 10 | 7 | 3.2 | 5 |
EDLC041720-150-2F-13 | 15 | 7 | 3.2 | 5 |