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ソリューションガイド
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ソーラーインバータにまず求められる重要な条件は高効率です。また、同時にコスト、サイズ、重量に関する要求はますます厳しくなっています。こういったニーズを同時に満たすための一つのアプローチはマルチレベルトポロジーの採用です。
複数の電圧レベルを切り替えることによる主な利点は、半導体の電圧ストレスとパワーチョークのリプルストレスの低減です。
これにより、一般的により安価な低電圧の半導体を使用できることになり、またチョークにかかるリプルストレスが低減されるため、チョークの設計についても小型化、軽量化、低コスト化が可能になります。
フライングコンデンサ・トポロジーは、ソーラーインバータのブースターステージにおいて特に重要な選択肢となる、マルチレベルトポロジーです。
名前に示される通り、このテクノロジーには主要なパーツとしてコンデンサが必要です。この記事では、適用可能なTDKのソリューションについて比較、説明しています。

紹介

フライングコンデンサ・マルチレベルコンデンサでは、追加のコンデンサを使用して、(DCリンクから自然に生成される2種類の電圧レベルを上回る)追加の(中間)電圧レベルを生成します。
これらのコンデンサは、接続された半導体スイッチング構造のスイッチング状態に応じて、異なる電位に浮遊することが可能なため、「フライングコンデンサ」と呼ばれています。
一度適切な電圧(例;DCリンク電圧の半分)まで充電されると、次のスイッチングサイクルの半分の間、一種の「電圧源」として機能し、追加の電圧レベルを提供します。
このようなコンデンサは、一定の電圧を維持する必要があり、高リプル電流やスイッチング周波数にさらされるため、厳しい用途に適した部品を慎重に選択することが重要となります。
以下に、設計例とコンポーネントの構成に関するソリューションを紹介します。

適用条件

ここでは、フライングコンデンサのリプル電圧の上限としてΔUFC = 80 Vpp 、スイッチング周波数 fSW = 16 kHz、最大ピーク電流 Ipeak = 60A を想定しています。
したがって、 必要とされるフライングコンデンサの静電容量はCFC = 24µFとなり、これは式によって計算できます。
(参考文献:Vincotech Technical paper 「The Advantage and Operation of Flying-Capacitor Boosters(フライングコンデンサ・ブースターの利点と動作)」)
環境温度は60℃とし、電源モジュールからの熱はフライングコンデンサに大きな影響を及ぼさないと想定しています。発生した熱は主にPCBから放散され、ごく一部の熱は自然対流によって静止空気中に放散されます。
この用途では、さまざまなコンデンサ技術を検討することができますが、ここではTDKのフィルムコンデンサやCeraLink® コンデンサ技術について詳しく説明します。

PCB実装用フィルムコンデンサ

TDKは、DCリンク動作におけるお客様の主なニーズに合わせて、多様な電圧と静電容量レンジを提供しています。機械的構造は2ピンから4ピンまで様々で、リードスペースのオプションにより、低自己インダクタンスや高共振周波数などの電気的特性も向上させることができます。このシリーズは、エネルギー密度、リップル電流、125℃までの周囲温度、および高い耐湿性に重点を置いています。長寿命(10万時間以上)と静電容量値の安定性に加え、このような特徴は高周波スイッチングアプリケーションのための優れた設計オプションとなります
コンデンサの選定、モデリングデータ、アプリケーション・シミュレーションについては、当社 Web サイト CLARA (Capacitor Life And Rating Application) をご覧ください。

CeraLink® コンデンサ

CeraLink®は、DCリンクの電圧安定化やスナバ用途に使用される超小型コンデンサ製品シリーズです。 これらの製品は独自の反強誘電性セラミック技術をベースとし、電圧の上昇に伴って静電容量が増加する材料を使用しています。CeraLink®は、高速スイッチングコンバータ(SiC/GaN など)、非常に狭いスペースが要求されるコンバータや、150℃までの高温動作に耐える必要があるコンバータに最適な小型部品を提供することを目的として設計されています。

CeraLink®の静電容量挙動は非線形であり、DCバイアスおよび高い環境温度下での動作に合わせて最適化されています。詳細に関しては、当社の テクニカルガイド または シミュレーションツールボックス をご覧ください。DCバイアスレベル600 VDC および重畳リップル電圧80 Vpp の条件下において、CeraLink® FA10 700Vタイプは、25-60℃の温度範囲で通常4 µF の有効静電容量を提供できるよう設計されています。

フィルムコンデンサとCeraLink®コンデンサの比較

次の表では、2種類のコンデンサによるソリューションの幾何学的および電気的特性を比較します。スペースに制限がない場合、フィルムコンデンサは1個もしくは数個で電気的な要件を満たせるため、コストや部品点数の面でより大きなメリットがあります。これに対してCeraLink®は、ソリューションの全高が重要になる場合や、スルーホール技術を使えない場合の優れた選択肢となります。さらに、大電流への対応が必要な場合やスイッチング周波数が高くなる場合、CeraLink®の優位性は明らかです。

表 1. スイッチング周波数 fSW = 16 kHzのとき、必要とされるFCの静電容量は Cfc = 24 µF
パラメータ 単位 フィルムコンデンサ
(B32714H8805J000)**
CeraLink® コンデンサ FA10
(B58035U7505M001)
幅 (最大) [mm] 18.0 7.8
高さ (最大) [mm] 33.0 9.6
長さ (最大) [mm] 31.5 30.5
体積 [cm³] 18.7 2.3
ランドパッド幅 [mm] - 10.7
ランドパッド長 [mm] - 31.0
フットプリント [cm²] 5.7 3.3
重量 [g] 24.5 11.5
静電容量 [µF] 8.0 4
フットプリント当たりの静電容量 [µF/cm²] 1.4 1.21
体積当たりの静電容量 [µF/cm³] 0.43 1.74
電流容量 [ARMS] 14.5 16.0 *
定格電圧 [Vdc] 800 700
必要なコンデンサの総数 [pcs] 3 6
ソリューションの総面積 [cm²] 17.1 19.8
ソリューションの総体積 [cm³] 56.1 13.8
ソリューションの総重量 [g] 73.5 69.0
総電流容量 [ARMS] 32.7 96 *

 優位な特性

実装技術 スルーホール
表面実装

* 16kHz、環境温度65℃、デバイス温度150℃、強制冷却なし
** 環境温度65℃において、連続使用8.8万時間以上の予想耐久時間を有する構成

表 2. スイッチング周波数 fSW = 32 kHzのとき、必要とされるFCの静電容量は CFC = 12 µF
パラメータ 単位 フィルムコンデンサ
(B32774H1335K000)**
CeraLink® コンデンサ FA10
(B58035U7505M001)
幅 (最大) [mm] 19.0 7.8
高さ (最大) [mm] 30.0 9.6
長さ (最大) [mm] 31.5 30.5
体積 [cm³] 17.9 2.3
ランドパッド幅 [mm] - 10.7
ランドパッド長 [mm] - 31.0
フットプリント [cm²] 5.9 3.3
重量 [g] 20.3 11.5
静電容量 [µF] 3.3 4
フットプリント当たりの静電容量 [µF/cm²] 0.55 1.21
体積当たりの静電容量 [µF/cm³] 0.18 1.74
電流容量 [ARMS] 11.8 22 *
定格電圧 [Vdc] 1100 700
必要なコンデンサの総数 [pcs] 4 3
ソリューションの総面積 [cm²] 23.6 9.9
ソリューションの総体積 [cm³] 71.6 6.9
ソリューションの総重量 [g] 81.2 34.5
総電流容量 [ARMS] 47.2 66 *

 優位な特性

実装技術 スルーホール
表面実装

* 32kHz 、環境温度 65℃、デバイス温度150℃、強制冷却なし
** 環境温度65℃において、連続使用時間20万時間以上の予想耐久時間を有する構成

まとめ

フライングコンデンサブースターは、ソーラーインバータ用途に適した高効率、低コストのソリューションです。主なメリットは、周波数逓倍への対応、半導体電圧の低減、電圧・電流リップルの低減、スイッチング損失の抑制、EMI発生量の低減です。
TDKは各種のコンデンサテクノロジーを豊富にラインアップしており、広い範囲の静電容量と電圧値をサポートしています。各タイプの製品をクリックすると、詳細な説明が表示されます。