xEV充電インフラを支える小型・高信頼性パルストランス AMT45S
xEV車の充電制御回路におけるパルストランスの役割
xEVでは様々な充電コネクタ規格が世界各地で採用されています。代表的なものとして、欧州を中心に普及が進むCCS(Combined Charging System)、北米を中心に普及が進むNACS(North American Charging Standard)、さらにCHAdeMOやGB/Tなどが挙げられます。この中でCCSおよびNACSでは、充電時の制御通信にPLC(Power Line Communication)が活用されています。
PLCは、充電ケーブルを通じて車両と充電器間で制御信号をやり取りするために用いられます。xEVにおいては充電を目的とした電力伝送を行う回路と、その充電の制御を行う制御回路の2つがあり、制御回路では充電を適切に制御するために信号のやり取りが行われています。この制御回路の中でパルストランスが活用され、直流電流に対する回路の絶縁や、ノイズ抑制、信号波形の維持、といった重要な役割を担っています。パルストランスの性能は、充電制御通信の信頼性や充電効率、バッテリー効率に直結するため、充電インフラの発展において欠かせない部品となっています。
従来のxEV用パルストランスに対する優位性
現在PLC用パルストランスにはトロイダルタイプのトランスが一般的に使用されていますが、これらの製造工程では手巻き工法等により巻線時間と品質の安定性を確保しづらい課題がありました。また本来PLC回路においては電力線に通信信号を重畳させる関係上パルストランス自体が高い耐圧特性も確保している必要がありました。そのためトランス部分に樹脂コーティングを行っている製品も多く、結果として大型化やコスト増加の要因となっていました。
AMT45Sは安定した完全自動巻線技術の採用により、効率的かつ安定した品質のパルストランスを実現しています。また、xEV充電用途のPLC回路では高い電圧がかからないため樹脂コーティングが不要となり、よりシンプルな製品構造で小型化を実現しています。これらの優位性によって、xEVにおける基板設計の柔軟性向上やシステム全体のコスト最適化に大きく貢献できる点がAMT45Sの大きな特徴です。
下表は、従来製品とTDKの新型AMT45Sの比較を示しています。
AMT45S型は自動巻線技術の採用により、従来品に比べて大幅な小型化と品質安定性の向上、及び生産効率の改善を実現しています。
| 指標 | 市場製品A | AMT45S | 縮小率・改善点 |
| 長さ [mm] *最大値 | 11.4 | 4.7 | 約59% |
| 幅 [mm] *最大値 | 8.45 | 3.4 | 約60% |
| 高さ [mm] *最大値 | 8.5 | 3.0 | 約65% |
| 体積 [mm³] *最大値 | 約819 | 約48 | 約94% |
| 生産工数 | 手巻き工法で時間が長い | 自動巻線工法で時間が短い | 生産率向上 |
| 品質の安定性 | ばらつきが大きい | 高い安定性 | 自動化による大幅改善 |
安定した挿入損失特性(インサーションロス)の実現
PLCでは主に2MHz~30MHzの信号周波数で通信を行っています。制御情報を劣化させず適切に送受信するためには、対応する周波数において信号波形の歪みが極力小さいパルストランスが求められます、AMT45Sは小型化を実現しつつ、高品質な自動巻線と適切なフェライト材料の選定により、2MHz~30MHzにおける安定した挿入損失特性(インサーションロス:IL)を実現しました。
製品形状・寸法・等価回路
まとめ
以上のようにAMT45SはxEV充電用の制御回路に求められる良好な挿入損失特性(インサーションロス:IL)を確保しながら、従来製品と比較して大幅な小型化を実現しました。またxEVの充電インフラに限らず、TDKはこれからも技術革新と品質向上を追求し、社会を支える高品質な製品を提供してまいります。
また本製品のより詳細な仕様につきましては専用のページがございますので、こちらのリンク先を参照ください。
Pulse Transformer AMT45S
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