プロダクトオーバービュー パワーインダクタ VLSシリーズ
パワーインダクタVLSシリーズは、TDKがこれまで蓄積してきた材料技術や製造工法などを駆使して開発した巻線・磁気シールド(樹脂)タイプのインダクタです。大きく分けるとVLS-HBX/HBUシリーズ、VLS-CXシリーズ、VLS-EX/AF/EX-Hシリーズの3つに分類でき、それぞれ優れた特徴を持っています。本記事ではその構造や特徴、用途など皆様に役立つ情報を解りやすく解説します。目次
製品の概要
VLS-HBX/HBUシリーズはコアに金属磁性材料を、VLS-CXシリーズ、VLS-EX/AF/EX-Hシリーズはフェライト材料を採用した巻線タイプのインダクタです。どのシリーズも磁性体入りの樹脂で巻線部分を覆うことにより、漏れ磁束を低減しています。
シリーズ | |||
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製品概要 | 金属磁性材料を使用した
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フェライト材料を使用した
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大電流・低抵抗化を実現した
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特徴 |
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用途 |
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製品の構造
VLSシリーズの製品構造は、大きく2つに分けられます。VLS-HBX/HBUシリーズ、VLS-CXシリーズは端子電極構造により小型、薄型化を図っています。VLS-EX/AF/EX-Hシリーズは金属端子を採用し、5mm角、6mm角の中型サイズの製品です。
シリーズ | VLS-HBUシリーズ |
VLS-CXシリーズ |
VLS-AFシリーズ VLS-EX-Hシリーズ |
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製品構造 |
製品の特徴
VLS各シリーズの特徴を図3に示します。VLS-HBUシリーズは金属コアをコーティングする事により高耐圧を実現しています。VLS-EX-Hシリーズは使用温度範囲125℃に対応した車載向け製品です。
シリーズ | VLS-HBX シリーズ | VLS-HBU シリーズ | VLS-CX シリーズ | VLS-EX シリーズ | VLS-AF シリーズ | VLS-EX-H シリーズ |
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外観 | ||||||
使用温度 範囲 |
-40~105°C (自己温度上昇含む) |
-40~105°C (自己温度上昇含む) |
-40~105°C (自己温度上昇含む) |
-40~125°C (自己温度上昇含む) |
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コア | 金属 | 金属+コーティング | フェライト | フェライト | ||
外装仕様 | 磁性粉入り外装樹脂 (金属系) |
磁性粉入り外装樹脂 (金属系) |
磁性粉入り外装樹脂 (フェライト系) |
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端子電極 仕様 |
銀電極+めっき | 銀電極+めっき | 金属端子+めっき | |||
捺印仕様 /工法 |
極性 /レーザー |
極性 /レーザー |
極性+L値 /レーザー |
L値 /レーザー |
極性+L値+製造密番 /レーザー |
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特徴 | 標準仕様 | 金属コアの コーティングによる 高耐圧仕様 |
フェライトコア仕様による高耐圧仕様 | 標準仕様 | 音質改善仕様 | 車載用途仕様 |
アプリケーション
各アプリケーション回路毎に最適なVLSのシリーズを図4に示します。VLS-HBUシリーズは昇圧型DC-DCコンバータに、VLS-AFシリーズはDアンプのローパスフィルタ回路に適した製品です。
アプリケーション | DC-DCコンバータ(降圧タイプ) | DC-DCコンバータ(昇圧タイプ) | Dアンプ ローパスフィルタ |
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製品シリーズ | VLS-HBX, VLS-CX, VLS-EX, VLS-EX-H VLS-HBU VLS-AF |
製品一覧
各シリーズ、形状毎の製品一覧を図5に示します。タイプ名をクリックすると詳細な情報を見たりサンプルを購入する事ができます。
- 一般グレード
- 車載グレード
サイズ (mm) |
高さ (mm) |
VLS-HBX シリーズ |
VLS-HBU シリーズ |
VLS-CX シリーズ |
VLS-EX シリーズ |
VLS-AF シリーズ |
VLS-EX-H シリーズ |
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2.0x1.6 | 1.0 Max. | VLS201610HBX-1 | VLS201610CX-1 | ||||
1.2 Max. | VLS201612HBX-1 | VLS201612CX-1 | |||||
2.5x2.0 | 1.0 Max. | VLS252010HBX-1 | VLS252010HBU | VLS252010CX-1 | |||
1.2 Max. | VLS252012HBX-1 | VLS252012HBU | VLS252012CX-1 | ||||
3.0x3.0 | 1.2 Max. | VLS3012HBX | VLS3012CX-1 | ||||
4.0x4.0 | 1.2 Max. | VLS4012HBX | |||||
5.0x5.0 | 4.5 Max. |
VLS5045EX | 車載向け(125°C) VLS5045EX-H | ||||
6.0x6.0 | 4.5 Max. |
VLS6045EX | D-Amp LPF VLS6045AF | 車載向け(125°C) VLS6045EX-H |
パワーインダクタとは?
パワーインダクタとはDC-DCコンバータなどの電源回路で使用されるインダクタのことで、パワーコイル、パワーチョークなどと呼ばれることもあります。インダクタは自己誘導作用によりエネルギーを蓄える性質をもっており、チョッパ方式のDC-DCコンバータなどは、このインダクタとスイッチング素子を組み合わせることにより、電圧の変換を行っています。(図6参照)
インダクタは工法によって積層タイプ、薄膜タイプ、巻線タイプに分けられますが、パワーインダクタには大電流を流せる巻線タイプが主流で、これにフェライトや軟磁性金属のコアを組み合わせた様々な製品があります。また小型、薄型化が可能な積層タイプ、薄膜タイプも近年では大電流化が進んできています。
デューティ比(スイッチング周期に対するON時間の比)
の設定により必要な電圧に降下させる。
スイッチングを繰り返す
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