ソリューションガイド
高信頼性MLCCによるたわみクラック対策 概要
4 金属端子がたわみ応力を緩和し、セラミック素体への負荷が軽減
メガキャップ (金属フレーム付)
メガキャップはMLCC端子電極へ金属フレームを取り付けた製品です。金属フレームが熱衝撃や基板たわみによる応力を緩和するため、それらに対して非常に優れた耐性を有します。また2段積みタイプは同一面積で2倍の静電容量が得られるため、部品実装面積削減にも有効です。
図19:メガキャップの構造
基板を10mm曲げても素体クラックは発生せず
その効果は基板たわみ試験で確認できます。基板曲げ10mmで比較しますと、通常品では素体クラックが発生しますがメガキャップでは素体クラックは確認されません。
図20:基板たわみ試験の結果
【メガキャップ(金属フレーム付)の特長】
- 金属フレーム構造による優れた機械的応力/熱衝撃耐性
- 2段積み構造により同一面積で2倍の静電容量
- 安定した静電容量温度特性やDCバイアス特性を有するC0G品もラインナップ
- アルミニウム基板への実装も可能
【主な用途】
- 大容量を必要とする平滑用、デカップリング用途
- 非接触給電などの共振回路:C0G品
5 独自の製品構造で大容量、高信頼性、低抵抗を兼ね備える
低抵抗タイプ多連型メガキャップ
メガキャップは金属フレームによりメカニカル応力が緩和されますが、一方で金属フレームによりESR等の抵抗分が上昇するデメリットもあります。そのデメリットの抑制に向けて、製品構造を一新することで抵抗分を抑えた、新タイプのメガキャップを製品化しました。MLCCを横に並べる構造が特徴です。
図21:製品構造を一新した低抵抗多連型タイプ
多連型構造で製品高さやESR/ESLを抑える
従来タイプでMLCCを増やす場合、MLCCを縦に重ねるため製品高さと重心位置が高くなります。さらに上段のMLCCは基板への距離が遠くなるためESR/ESLが上昇します。このようなデメリットが増えるため従来タイプでMLCC数を増やすのは難しくなります。一方、新タイプはMLCCを横に並べる構造であり、これらデメリットが生じません。そのため従来タイプでは2段まででしたが、新タイプではMLCCをもう1つ組み込んだ3連構造品の生産が可能です。
図22:新型メガキャップの特長
インピーダンス/ESRの低減
その効果はインピーダンス/ESR周波数特性へ反映されます。新タイプ(青)の抵抗値は従来タイプ(黒)に比べて低くなっています。また共振点(SRF)での比較では、新タイプは従来タイプよりESRが約60%低下しており、発熱量も同等の低減が期待されます(発熱量はESRに比例)。
図23:インピーダンス/ESR周波数特性、共振点でのESR/発熱量
【低抵抗タイプ多連型メガキャップの特長】
- MLCCを横に並べる多連型構造ならびに金属端子材料の最適化により、
製品高さや電気抵抗を抑えながら大容量化が可能 - 金属フレーム構造による優れた機械的応力/熱衝撃耐性
【主な用途】
- 大容量を必要とする平滑用、デカップリング用途
- 非接触給電などの共振回路:C0G品
【低抵抗タイプ多連型メガキャップ】製品情報およびサンプル購入
高信頼性MLCCによるたわみクラック対策 まとめ
- セラミック素体にクラックが発生し、さらにクラック内部に水分が侵入するとショートモード故障が発生する危険性が高まります。
- 特に下記のようなアプリケーションでは注意が必要です。
- 常に振動や衝撃にさらされる機器
- 落下衝撃が頻繁に起こりえる機器
- 基板たわみ応力が大きくかかるような製造時の取り扱い
- TDKは基板たわみによるショート発生リスクを低減するために設計された高信頼性MLCC 5シリーズを提供しています。各シリーズから用途に適合する製品をお選びいただき、製品の信頼性向上にお役立てください。
図24:高信頼性MLCCの特長