低抵抗タイプ金属端子付MLCC多連型メガキャップCAシリーズ
本記事では、CAシリーズの構造と用途の観点から、採用検討に必要なポイントを整理します。
CAシリーズとは?
CAシリーズは、複数のMLCCを金属端子で接合した低抵抗タイプの多連型メガキャップです。大容量化、低ESR、高信頼性に対応した車載グレードに加え、一般グレードもラインアップしています。金属端子が基板のたわみ応力や熱応力を緩和することで、車載用途に限らず、素体クラックやはんだクラックの発生を低減します。C0G特性品はワイヤレス給電などの共振回路に、X7R特性品はOBCやDC/DCコンバータなどの平滑回路に適しています。
車載機器から民生・産業機器まで、用途や要求仕様に応じて適切なグレードを選択できます。
CAシリーズの構造と特長
CAシリーズは、MLCCを横方向に並べる構造を採用し、2連・3連構造とすることで大容量化を実現しています。また、金属端子材料の最適化によって低抵抗化を実現しています。さらに、金属端子により、基板のたわみや熱衝撃によって生じるMLCC素体への応力を緩和します。加えて、金属フレームにはクランプ構造を採用しており、高温はんだ接合と組み合わせたハイブリッド接合により、高温リフロー時のMLCC脱落リスクを低減します。
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|---|---|
| MLCCと金属フレームは高温はんだで接合 | はんだとクランプによるハイブリッド接合で、 高温リフロー時のMLCC脱落リスクを低減 |
従来品(CKGシリーズ)との違いとCAシリーズのメリット
CAシリーズと従来品(CKGシリーズ)の主な違いは、MLCCの配列方向と金属端子材料です。従来シリーズがMLCCを縦方向に積み重ねるのに対し、CAシリーズはMLCCを横方向に並べる構造を採用しています。MLCCを増やしても製品高さや重心が上がりにくいため、振動による部品への負荷を抑えやすくなります。また、各MLCCと基板との距離を保ちやすいため、MLCCを増やした場合でもESR・ESLの上昇を抑制します。
この構造により、CAシリーズでは3連構造まで展開でき、大容量化に対応しています。さらに、金属端子材料の最適化によって低抵抗化を実現しています。
■MLCC配列方向の違いによるメリット
➡電流 ●重心
| 従来品(CKGシリーズ) | 新製品(CAシリーズ) | ||
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| 高背化・重心が上がる ➡振動リスクが大きくなる | MLCCを縦方向に増やすことで 静電容量をアップすることは難しいのは難しい | 高さ抑制・重心が上がらない ➡振動リスクが小さい | MLCC数を横方向に増やすことで 静電容量アップが可能 |
| 基板までの距離が長くなる。 ➡ESR /ESLが上昇する | 基板までの距離を維持。 ➡ESR /ESLの増加を抑制 | ||
| CAシリーズなら高さを抑えながら静電容量を拡張可能 | |||
■インピーダンス特性
CAシリーズの信頼性を支える5つのポイント
CAシリーズは、MLCC素体やはんだ接合部のクラック、通電時の発熱、リフロー時の脱落など、車載用途で想定されるリスクの低減に貢献します。
1. 基板たわみにより、MLCC素体クラックの発生リスクを低減
基板のたわみによってMLCCに応力が加わると、MLCC素体にクラックが発生することがあります。CAシリーズでは、金属端子が基板のたわみによる応力を緩和し、MLCC素体に加わる負荷を低減します。これにより、素体クラック発生リスクの低減に貢献します。
2. 温度変化により、はんだクラックの発生リスクを低減
温度変化が繰り返されると、MLCCと基板の熱膨張係数の差によって、はんだ接合部に熱応力が加わります。CAシリーズでは、金属端子が熱応力を緩和し、はんだ接合部への負荷を低減します。これにより、温度サイクルや熱衝撃によるはんだクラック発生リスクの低減に貢献します。
3. 低抵抗化により、大電流時の発熱を抑制
金属端子材料を最適化することで低抵抗化を実現しています。ESRを低減することで電流が流れた際の発熱抑制に貢献します。共振点におけるESRが従来タイプと比較して約60%低減しており、発熱量も同等の低減が期待されます。
※ESRおよび発熱量の低減率は、製品仕様や評価条件によって異なります。
4. ハイブリッド接合により、リフロー時のMLCC脱落リスク低減
高温はんだ接合に加えて、1個のMLCCを4個のクランプで固定する構造を採用しています。はんだとクランプによるハイブリッド接合により、高温リフロー時のMLCC脱落リスクを低減します。また、鉛フリーはんだの推奨リフロー温度である260℃にも対応可能です。
5. 横並び多連構造により、低背・低重心化と振動への配慮
複数のMLCCを横方向に並べる多連構造を採用しています。MLCCの数を増やしても製品高さや重心が上がりにくいため、振動による部品への負荷を抑えやすくなります。また、横方向にMLCCを増やせるため、2連・3連構造による大容量化にも対応しています。
用途①:ワイヤレス給電の共振回路に適したC0G特性品
ワイヤレス給電(WPT)のLC共振回路では、温度や印加電圧が変化しても、静電容量が安定しているコンデンサが求められます。CAシリーズのC0G特性品は、温度や印加電圧による静電容量の変化が小さく、共振回路の安定動作に貢献します。
EV向けのワイヤレス給電では大電力化が進み、コンデンサに流れる交流電流が増加するため、通電時の発熱が課題となりますが、CAシリーズは、金属端子材料の最適化によって低ESR化を実現し、発熱の抑制に貢献します。
下図は、送電側と受電側に配置されるLC共振回路の構成例です。青色で示したコンデンサが、LC共振用コンデンサです。
● LC共振用コンデンサ
ワイヤレス給電のLC共振回路におけるコンデンサの選定ポイント
- 温度や印加電圧による静電容量の変化が小さいこと
- 想定される印加電圧に対応した定格電圧を備えていること
- 大電流による発熱を抑えるため、ESRが低いこと
用途②:OBC・DC/DCコンバータの平滑回路に適したX7特性品
平滑回路では、整流や電圧変換によって生じる電源電圧のリップルを抑えるため、大きな静電容量が求められます。OBCやDC/DCコンバータでは、高電圧・大電力を扱うため、大容量に加えて高い定格電圧に対応したコンデンサが必要です。
また、平滑回路ではリップル電流がコンデンサに流れるため、ESRが大きいと発熱につながります。そのため、発熱を抑える観点から、低ESR特性も重要になります。
CAシリーズのX7系特性品は、複数のMLCCを並列接続した多連構造により大容量化を実現しています。さらに、金属端子材料の最適化によって低抵抗化に対応し、リップル電流による発熱の抑制に貢献します。高耐圧品を含むラインアップにより、OBCやDC/DCコンバータの平滑回路に求められる特性に対応しています。
以下に、OBCやDC/DCコンバータなどの車載電源回路における、平滑用途の適用例を示します。CAシリーズは、OBCやDC/DCコンバータなど、高電圧・大電力を扱う車載電源回路の平滑用途に適しています。
- ■自動車運転 / ADAS用ECU
● 入力用デカップリングコンデンサ:
自動車の高機能化に伴い、電源回路の高信頼性化の要求
- ■xEV DC-DC コンバータ
● 入力用デカップリングコンデンサ:
バッテリーの高電圧化により、数百ボルト耐圧のMLCCが必要
● 出力用デカップリングコンデンサ:
出力ラインでも電圧が高く、高信頼性化へ
まとめ
CAシリーズは、大容量、低ESR、クラック対策、リフロー信頼性に対応する金属端子付きMLCCです。これらの特長により、車載電源回路で求められる品質にも対応でき、ワイヤレス給電の共振回路、OBCの平滑回路、車載DC/DCコンバータやインバータのデカップリングなど、用途に応じた製品選定をご検討いただけます。
まずは、品質グレード、静電容量・定格電圧・温度特性・外形寸法をご確認ください。


