NTCサーミスタ実使用上の故障モードと対策方法
温度上昇に対して電気抵抗が減少する特性を持ち、その変化率が極めて大きい半導体抵抗器です。
主な用途として、電子機器内の温度検知やモジュール製品などの温度補償用に使用されます。
しかし、ユーザーによる誤った使用方法によっては、製品の機能が十分に発揮されず、最悪の場合故障に至ることがあります。
このページでは、NTCサーミスタの誤用によって起こる故障モードとして、
『クラック』と『素地溶融』について、その原因と対策をご紹介します。
目次
- 概要
- 故障モード①<クラック>
原因1:はんだ量過多
対策
原因2:実装後応力
対策 - 故障モード②<素地溶解>
原因1:過電流
対策 - まとめ
- 製品一覧
概要
故障モード①<クラック>
故障モードとして最も多く見られるのが、『クラック』です。
クラックは基板実装時や基板実装後の機械的応力によって引き起こされることがあり、その原因としては、『はんだ量過多』と『実装後応力』の2つによるものが多く見られます。
原因1:はんだ量過多
基板にNTCサーミスタを実装する際、はんだ量が過剰に多い場合、クラックを引き起こす原因となります。
はんだ量が多くなるにつれ、NTCサーミスタに加わるストレスは大きくなります。
これははんだによる収縮応力によるもので、過剰な量のはんだはクラックの原因となります。
また、はんだ量が少なすぎる場合は、接続不良やチップ脱落の恐れがあり、適切な量のはんだを使用することが重要です。
対策
基板のランドパターン設計の際には、はんだ量が適正となるようにパターン形状及び寸法を設定下さい。
弊社Web上のデータシートやカタログ内で、製品に合った推奨ランドパターン寸法がご確認頂けますので、
そちらに沿ったランドパターン設計をされることで、はんだ量の過不足を防ぐことができます。
例えば、弊社の1.6x0.8mm形状NTCサーミスタであれば、下記のランドパターン寸法を推奨しております。
原因2:実装後応力
NTCサーミスタがお客様の実装基板上にはんだ実装された後、割板やねじ止めにより実装基板が変形すると、
その応力によってクラックが発生する可能性があります。
特に割板付近では、NTCサーミスタに大きな応力ストレスが加わる傾向があり、注意が必要です。
対策
基板のたわみによる応力ストレスは、NTCサーミスタの実装基板上の部品配置によって大きく変動します。
例えば、割板面に対して垂直に配置するよりも、平行に配置したほうが応力ストレスは軽減され、また、割板部分から遠いほど応力ストレスは軽減されます。
このように、 NTCサーミスタがたわみ応力に対して有利な配置となるよう基板設計を行うことで、クラックが発生するリスクを大きく減少させることができます。
また、割板をしない場合においても、基板の曲げや、落下・衝撃によって生じるたわみ応力によってクラックが入る可能性があります。
NTCサーミスタ実装後の基板の取り扱いについては、外部応力ストレスが加わらないようお気を付けください。
故障モード②<素地溶融>
NTCサーミスタは温度検知デバイスですので、正確に温度を検出するためには、自己発熱をなるべく抑えて使用する必要があります。
しかし、過度の電気的負荷を印加し続けた場合、サーミスタ温度が融点を超え、『素地溶融』が発生するケースがあります。
原因1:過電流
前述の通り、素地溶融の原因としてはNTCサーミスタに大きな電気的負荷が加わることが挙げられます。
NTCサーミスタは、電気抵抗が温度に対して負の特性をもっていますので、過剰な電流が流れた際に生じる自己発熱により、自身の抵抗値は減少していきます。
このような電気特性を持つため、許容動作電流を大きく超える電流が流れてしまった場合、
自己発熱による抵抗値の減少と、その抵抗値の減少による電流増加が交互に起きる『熱暴走』に至る可能性があり、
素子の内部温度がセラミックスの融点を超えると、素地溶融が発生します。
対策
許容動作電流を超える電流が加わらないよう、部品選定・回路設計を行ってください。
例えば、弊社の1.0x0.5mm形状NTCサーミスタであれば、許容動作電流は0.03mA ~ 0.21mAほどで規定しております。
(注:実使用上は、ランドパターン・はんだ量・基板材質等で変化します。)
許容動作電流は品番ごとに規定されております。NTCサーミスタメーカー各社の規定値に従ってください。
また、過電流の対策としては、固定抵抗を使用した分圧回路が有効です。
参考までに、下記ページにてアプリケーションごとの回路例をご紹介しています。
加えて、弊社NTCサーミスタを使った、最適な製品とセンシング回路が選定可能なWebツールをご用意しております。
お客様の製品選定に、ぜひともご活用ください。
まとめ
本ページでは、NTCサーミスタの主に誤使用による故障モードと、その対策についてご紹介いたしました。
誤った使用法によるNTCサーミスタの故障事例は今回ご紹介したものだけではありません。
弊社カタログ、および納入仕様書に、より詳しい取り扱い上の注意点が記載されています。
ぜひご一読いただき、NTCサーミスタの安全なご使用・ご活用にお役立ていただきたいと思います。