アプリケーションノート ICT分野でのハプティクスデバイス

ICT分野でのハプティクスデバイス
産業用、車載用モニターや洗濯機等の白物家電のディスプレイに最近導入が始まったハプティクスデバイス(触感デバイス)ですが、実は携帯電話やノートパソコン等のICT製品にも導入することができます。
この触感デバイスとしてTDKはピエゾ効果を用いた製品を準備しています。

人間の触覚

表1

人間の五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、臭覚)はそれぞれの働きをするセンサーによって支えられています。そのなかでも触覚は皮膚を通じて感じる感覚であり、身体を覆う皮膚全体がセンサーとしての働きをする為、五感のなかでも最大の感覚器官です。
実際の触覚を担うセンサーの一つに皮膚下にあるパチニ小体があります。このパチニ小体の感度を現したグラフが左のグラフです(正弦波閾値が小さいほど感度が高い)。これより、人はおよそ50Hzから500Hz程度の周波数での振動を触感として認識することが出来、且つ200Hz前後の感度が非常に高いということが出来ます。

何故ピエゾ効果を用いた製品(ピエゾ素子)が触感デバイスとして優れているか?

現在触感デバイスとして広く用いられている製品として、偏心モーター(ERM: Eccentric Rotating Mass)やLRA(Linear Resonant Actuator)があげられます。
ERMはある特定の周波数のサイン波でしか振動できません。LRAは周波数、振幅ともある程度調整できますが、製品自身の共振周波数が150-300Hzにある為、詳細な触感コントロールは難しいです。
しかしピエゾ素子の共振周波数は触感に殆ど関与しない数十kHzにあるため、触感に大きく寄与する50-500Hzでは自在に振動をコントロールすることが出来、より実際の触感に近い振動を再現することが出来ます。(下グラフは当社製品の入出力応答例)

表2

触感の違いをお見せすることが出来ませんので、今までのご説明を視覚に代えてご説明します。

表3

ERMによる振動は何かが「ある」事は判りますが、それ以上の情報のない左の様なボケた感覚です。LRAはなにか形状は判別できるようになりますが、いまだ詳細が判らない、ややボケ気味の感覚です。ピエゾ素子を利用した場合は細部に至るまでハッキリと認識することが出来ます。
又、ピエゾ素子はERMやLRAよりも小さく、薄くする事も出来、小型薄型の要求が強いICT分野においてもその真価を発揮します。

ピエゾ素子の別の応用例
これまでは触覚(触感)に関してご説明しましたが、ピエゾ素子は前述のように非常に高い共振周波数(数十kHz)を有しています。 言葉を変えると、非常に広い周波数範囲で振動させることが出来る、つまり人の聞こえる範囲の周波数(一般的に20-20kHz)で振動させることが出来る、これはスピーカーとしても利用できることを意味しています。 ピエゾ素子は触覚のみならず、聴覚にも用いることが出来る製品です。

ICT分野における使用例

ここではICT分野の製品の何処にピエゾ素子の可能性があるか紹介します。

表4 スマートフォン

レシーバー/スピーカー
PiezoListen™ピエゾスピーカを筐体若しくはディスプレイに貼り付けることにより、従来の技術では必要であった音孔が不要になります。

サイドボタン
ピエゾ素子はアクチュエーターとしての役割の他に、センサ(圧力を電気信号に変換)としての機能もあります。それを用い筐体の下にPowerHap™アクチュエータを配置することにより、スイッチ孔を無くすことができます。
適切なドライバICを用いると、PowerHap™アクチュエータをボタン(押圧検知)としてもアクチュエータとしても利用でき、且つアクチュエータに加える電気信号により様々な触感を伝える事もできます。

ハプティックエンジン
PiezoHapt™アクチュエータPowerHap™アクチュエータを適切に配置することによりハプティックエンジンとしても利用することが出来、様々な触感を再現することもできます。用途によってはPiezoListen™ピエゾスピーカも利用できます。

表5 ノートPC

パワー/音量スイッチ
スマートフォンのサイドボタンと同様にPowerHap™アクチュエータを配置することによりスイッチ孔が不要となり、デザイン性、耐水性の向上も見込めます。

スピーカー
スマートフォンと同様、音孔が不要となり、PiezoListen™ピエゾスピーカをディスプレイに配置することにより、音が画像と同じ場所から聞こえてくるため、より映像情報を楽しむことが出来ます。

キーボード、トラックパッド
ピエゾ素子の特性を生かし、より薄型・高機能のキーボード、トラックパッドを実現できます。

表6 スタイラスペン

PowerHap™アクチュエータをスタイラスペン内部に入れることにより、筆感を再現することが出来ます。
(例:鉛筆、ボールペン、万年筆等の筆記用具別)(或いは:紙、石、木等)

その他ウエアラブル機器などのハプティックフィードバック用など