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パワーインダクタ HPLシリーズ

車載用パワーインダクタHPLシリーズは、TDKで独自開発したフェライト材料とフレームを用いた低インダクタンスの製品です。
大電流対応と高効率が特徴で、 ADAS画像処理プロセッサー等の大電流が要求される回路に最適です。また接合レス構造によって、オープンの不良リスクを低減した高信頼性を実現しています。
本記事では、HPLシリーズの構造や特徴、用途など皆様に役立つ情報を分かりやすく解説します。

製品の概要

HPLシリーズの概要を図1に示します。

図1 : 製品の概要
シリーズ HPLシリーズ
製品概要

大電流、低インダクタンスの車載用フェライトインダクタ
高透磁率かつ低損失のフェライトと低抵抗のフレームを使用
磁束をキャンセルする独自の構造設計によってEMIを低減し、接合レス構造によって高信頼性を実現

特徴 ・大電流対応
・低抵抗
・高信頼性
・漏れ磁束が少ない
・使用温度範囲は、-55℃~155℃(自己温度上昇含む)
・AEC-Q200対応
用途
車載(ADAS ECU、画像処理プロセッサ、超大電流アプリケーション)

製品の構造

HPLシリーズの構造を図2に示します。HPLシリーズは、フレームを2つのフェライトコアで挟んだ構造のインダクタです。
2つのフェライトコアでできる隙間の距離をコントロールすることで、抵抗値を変えることなくインダクタンスの微細な調整が可能です。

図2 : 製品の構造

製品の特徴

HPLシリーズは高透磁率のフェライト材料を使用し、磁束をキャンセルする構造をとることで、一般的なインダクタと比較して漏れ磁束が少なく、ノイズ対策に貢献します。
図3に構造と漏れ磁束の比較を示します。

図3 : 磁束のキャンセル

磁束をキャンセルする構造によるEMIの低減

HPLシリーズはACロスの小さいフェライト材料と低抵抗のフレームを使用することで、一般的なインダクタと比較して、電源回路での高効率を実現しています。
図4にACロス及び電源効率の比較グラフを示します。

図4 : ACロス及び電源効率の比較

ACロスの比較

電源効率の比較

アプリケーション

HPLシリーズの使用事例を図5の青枠で示します。低インダクタンス、大電流対応のため、高速大容量のカメラ映像を扱うADASの画像処理用プロセッサー等、大電力ECUに最適です。

図5 : 使用事例

ADAS / AD ECU

製品詳細

下記リンクをクリックすると、HPLシリーズの詳細な情報を見たり、サンプルを購入することができます。さらなるラインナップの拡充を図り、お客様の多種多様なインダクタニーズに対応してまいります。

図6 : 製品詳細
  • 車載グレード
シリーズ・タイプ 用途 LxW寸法 高さ インダクタンス 直流抵抗(max.) 定格電流 品番リスト
5.0x5.0mm 2.8mm 60~150nH 0.88mΩ 19~45.5A
3.2mm 60~80nH 0.77mΩ 43~63A
7.5x8.0mm 4.0mm 220~330nH 0.61mΩ 25~40A
8.0x12.0mm 6.0mm 220~330nH 0.55mΩ 49~78A

パワーインダクタとは?

パワーインダクタとはDC-DCコンバータなどの電源回路で使用されるインダクタのことで、パワーコイル、パワーチョークなどと呼ばれることもあります。インダクタは自己誘導作用によりエネルギーを蓄える性質をもっており、チョッパ方式のDC-DCコンバータなどは、このインダクタとスイッチング素子を組み合わせることにより、電圧の変換を行っています。(図7参照)
インダクタは工法によって積層タイプ、薄膜タイプ、巻線タイプに分けられますが、パワーインダクタには大電流を流せる巻線タイプが主流で、これにフェライトや軟磁性金属のコアを組み合わせた様々な製品があります。また小型、薄型化が可能な積層タイプ、薄膜タイプも近年では大電流化が進んできています。

図7:DC-DCコンバータ(チョッパ方式・降圧型)とインダクタ

デューティ比(スイッチング周期に対するON時間の比)
の設定により必要な電圧に降下させる。

スイッチングを繰り返す