プロダクトオーバービュー 故障リスクを低減した高信頼性車載用高周波パワーインダクタ

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チップアンテナ ANTシリーズ
車は人が運転する時代から運転サポート、自動運転へと移り変わり、使われる電子部品の数量がより一層増えてきています。一つの部品の故障で本来の機能が損なわれることになり、部品に対する信頼性の要求はさらに高まってきています。TDKでは車載向けに故障リスクを低減した高信頼性車載用高周波パワーインダクタを提案致します。

カーエレクトロニクスの動向

自動車はより安全で環境負荷低減を求められています。安全は機能の自動化によって行われるようになり、ECUの冗長性や機能分担で性能を担保するようになってきています。また、xEVの普及により環境対応が急速に行われています。そこで使われるECUの数は増加傾向にあり、電子部品需要が伸びるともに部品の信頼性向上、小型、高性能化の要求はますます大きくなっています。

図1:カーエレクトロニクスの動向
カーエレクトロニクスの動向

車載用部品に要求される環境の変化

xEV、自動運転の普及に伴い、使われる部品の信頼性要求が変化してきています。ICE(エンジン)からBEV(モーター)になることで、くるま内部に発熱体(高温)がなくなり、環境温度の要求値が下がる一方、自動運転にともない、車の使用時間が延びると考えられます。各機能によって要求環境温度はかわりますが、信頼性の要求時間が3000時間になっていくと予想します。また、ECUはバッテリ電圧の電圧変動を抑えるために必ずDC-DCコンバータを搭載していますが、EMI対策のためにスイッチング周波数がAM帯を避ける周波数(1.8~2.2MHz)に上がってきています。

図2:車載用部品に要求される環境の変化
車載用部品に要求される環境の変化

それぞれのECUへの最適なソリューションの提案

図3に横軸にインダクタンス、縦軸に電流をとり、代表的なECUをマッピングしました。HPLシリーズはADAS用画像処理用プロセッサーなどの大電力ECUで要求される大電流低インダクタンスに対応しています。TFMシリーズは中間の領域をカバーし、ADASや各ECUのセカンダリー回路に適しています。BCLシリーズは高インダクタンス値に対応でき、センサーやボディ系などの小電力ECUに適しています。信頼性を要求される自動車の各ECUで最適な高信頼性車載用高周波パワーインダクタを提案できます。

図3:それぞれのECUへの最適なソリューションの提案
それぞれのECUへの最適なソリューションの提案

高信頼性車載用高周波パワーインダクタのプロダクトオーバービュー

HPL、TFM、BCLシリーズは自動運転レベル5の実現に向け従来よりも故障リスクを低減した高信頼性車載用高周波パワーインダクタです。ICT向けの金属系パワーインダクタよりも耐圧、信頼性において特性を改良しており、HPLシリーズは大電流低インダクタンス、BCLシリーズは高インダクタンス低電流、TFMシリーズは両方の中間をカバーするラインナップとなっています。

図4:高信頼性車載用高周波パワーインダクタのプロダクトオーバービュー
高信頼性車載用高周波パワーインダクタのプロダクトオーバービュー

高信頼性車載用高周波パワーインダクタの製品概要、特長、用途など

HPL/BCLシリーズはオープン、TFMはショートリスクを最小にしています。
HPLは低Rdcで漏れ磁束が小さく、3端子構造で振動衝撃、放熱性に優れています。
TFMシリーズは金属材料の絶縁性をあげ、耐圧40V保障を実現し、バッテリラインでも使用可能です。また、漏れ磁束小さく高密度実装が実現できます。
BCLは新規プレス工法により、ワイヤーのダメージを小さくしています。磁性材料の損失が小さく、磁束が大きくなる昇圧回路で高効率です。また、高インダクタンス値が可能であり、入出力間の電位差が大きい回路でも最適なインダクターを提供できます。

図5:高信頼性車載用高周波パワーインダクタの製品概要、特長、用途など
シリーズ HPLシリーズ TFM–ALVAシリーズ BCLシリーズ
外観
HPLシリーズ
TFM–ALVAシリーズ
BCLシリーズ
高信頼性
ポイント
オープンリスクなし ショートリスクなし オープンリスクなし
製品概要

大電流低インダクタンス

1Tsの銅バーを形成し、そのままユーザー端子として使用するので継線レス構造となり、オープンモードの不良リスクをなくしています。フェライトコアで銅バーを挟み込んで製品を形成しています。

2MHz駆動セカンダリ回路に最適

薄膜プロセスを用いたインダクタです。
車載品質に対応した製品で、150°C40V耐圧保証品です。内部の銅パターンを絶縁膜で覆い、ショート不良をなくしています。

高インダクタンス対応

磁性材料で巻線コイルを一体成形したインダクタです。金属接合により巻線をユーザー端子に接合することでオープンモードの不良リスクをなくしています。線積率を上げ、高インダクタンス値も対応可能となっています。
特徴
  • 漏れ磁束が少ない
  • 高信頼性
  • 低Rdc(高効率)
  • 大電流対応
  • 放熱性が良い
HPLシリーズ
  • 漏れ磁束が少ない
  • 高信頼性
  • 耐圧40V保証を実現
  • 低Rdc
  • 小型
  • HPLシリーズ
  • 漏れ磁束が少ない
  • 高信頼性
  • 耐圧40V保証を実現
  • 低コアロス(高効率)
  • 高インダクタンス領域に対応
HPLシリーズ
用途
  • 画像処理プロセッサ用
  • 超大電流アプリケーション
  • ADAS ECU
  • 車載カメラ
  • レーダー
  • 車載通信用モジュール
  • センサー系小電力ECU
  • ボティコントロール
  • 車載カメラ
  • 車載用デイライト
製品構造
HPLシリーズ
TFM–ALVAシリーズ
BCLシリーズ
構造特徴 銅バーをユーザー端子とすることで継線部分がないため、高信頼性を実現できる
HPLシリーズ
TFM–ALVAシリーズ
低圧プレスで成形することによりワイヤにダメージを与えないので、高信頼性を実現できる
BCLシリーズ
使用温度
範囲
-55~155°C
(自己温度上昇含む)
-55~150°C
(自己温度上昇含む)
-55~155°C
(自己温度上昇含む)
磁性材料 フェライト磁性材料 金属磁性材料 金属磁性材料
端子電極
仕様
銅バー+Niめっき+Snめっき 導電性樹脂+Niめっき+Snめっき 導電性樹脂+Niめっき+Snめっき

車載の電源回路

図6に車載の電源回路例を示します。ECU内で構成されるDC-DCコンバータの1次回路、2次回路で使う事ができます。2次側のスイッチング周波数は2MHz前後になってきており、HPL、TFM、BCLシリーズにより高信頼性車載用高周波パワーインダクタの最適なソリューションを提供致します。

図6:車載の電源回路
車載の電源回路