プロダクトオーバービューパワーインダクタ TFMシリーズ
パワーインダクタTFMシリーズは、TDKがこれまで蓄積してきた薄膜プロセスを駆使して開発した小型、薄型のインダクタです。更に高い飽和磁束密度を持つ金属磁性材料を使用することで、パワーインダクタに必要な良好な直流重畳特性を実現しています。本記事ではその構造や特徴、用途など皆様に役立つ情報を解りやすく解説します。目次
製品の概要
TFMシリーズの概要を図1に示します。TFM-GHMシリーズを始めとして更に特性を向上させた各種シリーズを取り揃えています。
シリーズ | TFM-GHMシリーズ | TFM-ALMシリーズ | TFM-ALCシリーズ | TFM-ALMAシリーズ | TFM-ALVAシリーズ |
---|---|---|---|---|---|
製品概要 | 金属磁性材料を使用した |
金属磁性材料を使用した |
|||
薄膜プロセスを用いたインダクタです。 当社独自のパターン形成技術、磁気飽和特性を改善した金属磁性材料を採用することで、小型・低背に関わらず数Aクラスの定格電流を実現しています。 コイル導体間の絶縁構造の信頼性を上げ、ショートリスクを回避しています。 |
薄膜プロセスを用いたインダクタです。 GHMシリーズより、内部パターンの最適化を行って特性をアップさせました。 |
薄膜プロセスを用いたインダクタです。 ALMシリーズから金属材料の変更と内部パターンの最適化を行ってさらに特性をアップさせました。 |
薄膜プロセスを用いたインダクタです。 車載品質に対応した製品で、150°C保証品です。 |
薄膜プロセスを用いたインダクタです。 ALMAシリーズから金属材料の特性を上げ、耐圧性能を向上させました。 |
|
特徴 |
|
|
|
|
|
用途 |
|
|
製品の構造
TFMシリーズは薄膜プロセスを用いたインダクタです。Cuメッキによってコイルを形成する為自由度の高い設計が可能です。また樹脂電極を採用しており熱や基板たわみなどの応力を緩和します。
シリーズ | TFM-GHMシリーズ | TFM-ALMシリーズ | TFM-ALCシリーズ | TFM-ALMAシリーズ | TFM-ALVAシリーズ |
---|---|---|---|---|---|
製品構造 | 端子電極樹脂電極タイプの方が応力が緩和されている 熱ストレス時(150°C)の応力シミュレーション比較 絶縁膜 |
製品の特徴
TFM各シリーズの特徴を図3に示します。TFM-ALMAシリーズ及びTFM-ALVAシリーズは150℃対応の車載仕様品となります。
シリーズ | TFM-GHMシリーズ | TFM-ALMシリーズ | TFM-ALCシリーズ | TFM-ALMAシリーズ | TFM-ALVAシリーズ |
---|---|---|---|---|---|
外観 | |||||
サイズ | 2.0x1.6mm | 2.0x1.6mm | 1.6x0.8mm 2.0x1.6mm |
2.0x1.6mm 2.5x2.0mm 3.2x2.5mm |
2.5x2.0mm 3.2x2.5mm(開発中) |
使用温度 範囲 |
-40~125°C (自己温度上昇含む) |
-55~150°C (自己温度上昇含む) |
|||
磁性材料 | 金属磁性材料 | 金属磁性材料 | |||
端子電極 仕様 |
樹脂電極(導電性樹脂層+メッキ) | 樹脂電極(導電性樹脂層+メッキ) | |||
特徴 | 標準仕様 | 良好な直流重畳特性 | コア材質見直しによる 低ロス化 |
車載用途仕様 | 車載用途仕様 40V保証 |
TFMシリーズでは新規に開発した金属磁性材料を採用することにより、コイルの低ロス化や優れた直流重畳特性を実現しています。
電源回路の効率改善に効果的
優れた直流重畳特性
(Isat:Lが初期値の-30%となる電流値)
アプリケーション
TFMシリーズの使用事例を図6に示します。TFMシリーズは小型、大電流対応の為、高密度実装が要求されるスマートフォンや車載ECUに最適なインダクタです。
アプリケーション | ブロックダイアグラム |
---|---|
スマートフォン | |
車載ECU |
製品一覧
各シリーズ、形状毎の製品一覧を図5に示します。タイプ名をクリックすると詳細な情報を見たりサンプルを購入する事ができます。
- 一般グレード
- 車載グレード
サイズ (mm) |
高さ (mm) |
TFM-GHMシリーズ | TFM-ALMシリーズ | TFM-ALCシリーズ | TFM-ALMAシリーズ | TFM-ALVAシリーズ |
---|---|---|---|---|---|---|
1.6x0.8 | 0.8 Max. | TFM160808ALC | ||||
2.0x1.6 | 0.8 Max. | TFM201608ALC | ||||
1.0 Max. | TFM201610GHM | TFM201610ALM | TFM201610ALC | TFM201610ALMA | ||
2.5x2.0 | 1.2 Max. | TFM252012ALMA | TFM252012ALVA | |||
3.2x2.5 | 1.2 Max. | TFM322512ALMA | (開発中) TFM322512ALVA |
パワーインダクタとは?
パワーインダクタとはDC-DCコンバータなどの電源回路で使用されるインダクタのことで、パワーコイル、パワーチョークなどと呼ばれることもあります。インダクタは自己誘導作用によりエネルギーを蓄える性質をもっており、チョッパ方式のDC-DCコンバータなどは、このインダクタとスイッチング素子を組み合わせることにより、電圧の変換を行っています。(図8参照)
インダクタは工法によって積層タイプ、薄膜タイプ、巻線タイプに分けられますが、パワーインダクタには大電流を流せる巻線タイプが主流で、これにフェライトや軟磁性金属のコアを組み合わせた様々な製品があります。また小型、薄型化が可能な積層タイプ、薄膜タイプも近年では大電流化が進んできています。
デューティ比(スイッチング周期に対するON時間の比)
の設定により必要な電圧に降下させる。
スイッチングを繰り返す
お問い合わせはこちら
関連リンク
インダクタ(コイル)製品情報
TDKグループのインダクタ(コイル)について各種情報を総合的にご案内いたします。