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アプリケーションノート

サーバの電源回路用製品とデータライン用製品

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クラウドコンピューティングやスマートフォンの普及、さらに2020年の5Gのスタートにともない、インターネット上を移動するデータは従来の文書や画像、音声に加えて、動画、ゲームなどの大容量コンテンツが増大しています。
そして、AIなどに代表されるテクノロジーの進化や、ビッグデータおよびIoTなどのデータ活用によるデジタルトランスフォーメーション(DX)が到来しています。しかしこれらの進化を支えていくためには、大量のデータを処理できる高性能サーバが数多く必要となります。プロセッサーや各種IC高性能化に伴い、サーバ基板上の電源ICの高クロック化、大電流省電力化、小型化、データラインに於けるノイズ対策、サージ対策が喫緊の課題になっています。これらの課題に対応・解決するためVR13およびVR14アプリケーションでの高効率要求に対応したフェライトパワーインダクタ VLBUシリーズ、µPOL™組み込みDC-DCコンバータ FSシリーズ、パルストランス ALTシリーズ+コモンモードフィルタ/チョーク ALCシリーズでのソリューション、サージ保護デバイス チップバリスタ/セラミック過渡電圧サプレッサなどのTDK製品について紹介致します。

目次

電源回路ブロックとTDK製品群

図1 電源回路ブロックとTDK製品群

Processorを駆動するためのVRM(Voltage Regulator Module)

CPUボードに供給する電源はフロントエンド電源ユニットで交流電圧を直流電圧に変換し、マザーボードにはDC12V、5Vそれに3.3Vの電圧を供給しています。現在のCPUの動作電圧は1.5V以下であり、フロントエンドユニットから給される電圧とは適合しません。そこでDC12VをCPUが動作する電圧に変換するためにVRM(Voltage Regulator Module)が⽤いられます。CPUの電源電圧は低消費電力と高速動作を実現するために年々低圧化になってきており(図2(a))、低電圧になると許容電圧変動値が小さくなり(出力電圧の5%が許容値だとすると1Vで50mV、0.8Vだと40mV)、高速過渡応答に対応したVRMが必要になってきます。電流値が50A以上になると一つのDCDCコンバータでは実現するのは難しくなり、大電流VRMにはマルチフェーズ回路(図2(b),図2(c))が使用されます。

この回路に使われるパワーインダクターの条件としては、低インダクタンス、大電流、省スペース、低損失が求められ、VLBUシリーズ(表1)が適しています。
VLBUシリーズはVR13およびVR14アプリケーションでの高効率要求を満たしております。

図2 コア電圧とマルチフェーズ回路
表1 VR13およびVR14アプリケーションでの高効率要求に対応したフェライトパワーインダクタ VLBUシリーズと特徴

また、TDKではIC内蔵型の超小型POLにて容易なレイアウト設計をサポート致します。
出力電圧・各種設定はご使用条件に応じIC出荷時にプログラム可能です。詳細仕様につきましてはお問合せ下さい。

図3 µPOL™組み込みDC-DCコンバータ FSシリーズと特徴

データライン回路ブロックとTDK製品群

図4 データライン回路ブロックとTDK製品群

有線LANはケーブルを接続して利用するもので、現在では標準規格としてイーサネット(Ethernet)が採用されています。
情報量が年々増えていくにつれて、伝送スピードは100MbE、1GbE、10GbEと高速化が進んでいます。また、1枚の基板に複数のパルストランスを搭載する傾向があることから小型サイズのニーズがあります。現在のパルストランス市場は、トロイダル形状の製品が多数を占めていますが、TDKでは独自の構造設計を行い、SMDタイプの製品で自動実装に対応しています。また、生産は自動巻線工法を採用し、品質の安定化に寄与しています。

図5 パルストランス ALTシリーズ+コモンモードフィルタ/チョーク ALCシリーズ ソリューション

有線LANはケーブルを利用するためにコネクタの抜き差しの際にESD障害が発生したり、電力サージ、落雷などによりサージ電圧がデータラインに乗りICが破損する場合があります。その対策として入出力のピンごとに保護素子を置いてサージを減少させます。TDKチップバリスタCTシリーズは他の保護素子と比べて小型化を実現しており、優れたサージ抑制特性を持ち合わせています。

図6 サージ保護デバイス チップバリスタ/セラミック過渡電圧サプレッサ