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超小型メタルパワーインダクタ PLEシリーズ

パワーインダクタPLEシリーズは、ウェアラブルデバイス等に搭載される小型バッテリーでの動作時に効果を発揮する高効率・低漏洩磁束の超小型パワーインダクタです。
当社独自の構造設計と新たな開発材料を用い、薄膜工法によって幅広いインダクタンス値を実現しています。
本記事ではその構造や特徴、用途など皆様に役立つ情報を解りやすく解説します。 

超小型メタルパワーインダクタ PLEシリーズとは

PLEシリーズの概要を図1に示します。

タイプ PLE856C / PLEA67B PLEA85D
製品概要
  • TWS(ワイヤレスイヤホン)等の小型ウェアラブルデバイスに最適な超小型パワーインダクタ
  • 高精度薄膜積層技術によって幅広いインダクタンス値を実現
  • 高透磁率かつ低ロスの金属磁性材料の採用によって、バッテリー駆動時間に大きく影響を与える軽負荷時の電源効率を改善
  • 高密度実装下でも基板、周辺部品へのノイズ影響が少ない漏洩磁束抑制構造
特徴
  • 超小型形状で幅広いインダクタンス値
  • 低損失、高効率
  • 低漏洩磁束
  • 使用温度範囲 -40℃~125℃
  • コイル縦巻構造
  • 漏洩磁束は、水平方向
  • 実装方向を変えても、磁束の向きは変わらない
  • コイル横巻構造
  • 漏洩磁束は、垂直方向
  • 極性マークあり
  • 低背
  • 高密度実装対応
用途
  • ウェアラブル製品(TWS、スマートウォッチ、補聴器、ARグラスなど)
  • 小型電源モジュール
  • 通信モジュール(GNSS, Bluetooth等)
図 1: 製品の概要

超小型で高インダクタンスを実現するPLEシリーズの構造

PLEシリーズの構造を図2に示します。
PLEシリーズは、薄膜HDDヘッドの技術を応用した薄膜工法と高精度の積層プロセス技術によって、超小型で幅広いインダクタンス値を実現したインダクタです。

コイル巻き方向と形状が異なる3種類をラインアップしています。

コイル縦巻タイプ コイル横巻タイプ
PLE856Cタイプの構造 PLEA67Bタイプの構造 端子電極 端子電極
PLEA85Dタイプの構造 端子電極
図 2: 製品の構造

超小型パワーインダクタに最適な薄膜工法を用いたPLEシリーズは、以下のような特徴をもっています。
・薄膜工法によって高精度な積層を実現し、ばらつきを抑制
・2巻/層以上を実現し、小型形状にも関わらず、高インダクタンスまでラインアップが可能

PLEシリーズは、新規に開発した高透磁率かつ低ロスの金属磁性材料を用い、低損失・高効率を実現しました。
図3に薄膜工法およびPLEシリーズで使用している金属磁性材料を示します。

図 3: 薄膜工法の特徴

小型ウェアラブル機器に最適化したPLEシリーズの特徴

①コイルの巻き方向が異なる2つのラインアップ

PLEシリーズはフルシールド構造のため漏洩磁束を抑制し、高密度実装環境下におけるノイズの影響を低減します。
発生する磁束の方向はコイルの巻き方向により異なり、用途に応じて最適なタイプをお選び頂くことができます。

タイプ PLE856C / PLEA67B PLEA85D
漏洩磁束の向き


漏洩磁束は基板に対して水平方向
→基板面に影響を及ぼすノイズを低減


漏洩磁束は基板に対して垂直方向
→周辺部品へのノイズ干渉を低減

図 4: 製品の特徴

②低消費電力デバイスに適した製品特性

小型バッテリーで駆動されるウェアラブルデバイスは、低消費電力が要求されるため、電源駆動方式にPFM(Pulse Frequency Modulation)が使用されます。
PFMはPWM(Pulse Width Modulation)と比較すると、軽負荷時にスイッチング回数を低減することができるため、消費電力を低く抑えられるメリットがあります。
一方でPFMでは、インダクタに流れる交流電流の割合が大きいため、ACR特性が重要です。(図5)

図 5: PFMとPWMの比較

PLEシリーズは低ロス材料の採用によりACRが低いため、より大きい形状のフェライトインダクタと比べて高い電源効率を実現しています。

Vin=3.7V Vout=1.8V Fsw=1.5MHz
図 6: PLEシリーズとフェライトインダクタの電源効率の比較

PLEシリーズの使用用途

PLEシリーズの使用事例を図7の青枠で示します。
超小型形状であるため、TWSや通信モジュール等の高密度実装が必要なデバイスに最適な製品です。
製品の小型・軽量化、電源回路の高効率に貢献します。

図 7: アプリケーション

PLEシリーズのラインアップ一覧

下記リンクをクリックすると、PLEシリーズの詳細な情報を見たり、サンプルを購入することができます。
さらなるラインアップの拡充を図り、お客様の多種多様なインダクタニーズに対応してまいります。

タイプ 用途 L寸法
±0.1mm
W寸法
±0.1mm
T寸法
max.
インダクタンス(μH)
±20%
直流抵抗
(mΩ) max.
定格電流
Isat (A) max.
PLE856C
インダクタ,コイル:PLE856C

一般グレード
0.8mm 0.45mm 0.65mm 0.47 210 0.62
1.0 420 0.42
1.5 520 0.33
PLEA67B
1.0mm 0.6mm 0.8mm 1.0 265 0.8
2.2 650 0.5
4.7 1080 0.3
PLEA85D
1.0mm 0.8mm 0.55mm 0.47 120 0.7
1.0 300 0.6
2.2 600 0.4
3.3 1200 0.25
図 8: 製品一覧

パワーインダクタとは?

パワーインダクタとはDC-DCコンバータなどの電源回路で使用されるインダクタのことで、パワーコイル、パワーチョークなどと呼ばれることもあります。インダクタは自己誘導作用によりエネルギーを蓄える性質をもっており、チョッパ方式のDC-DCコンバータなどは、このインダクタとスイッチング素子を組み合わせることにより、電圧の変換を行っています。(図9参照)
インダクタは工法によって積層タイプ、薄膜タイプ、巻線タイプに分けられますが、パワーインダクタには大電流を流せる巻線タイプが主流で、これにフェライトや軟磁性金属のコアを組み合わせた様々な製品があります。また小型、薄型化が可能な積層タイプ、薄膜タイプも近年では大電流化が進んできています。

デューティ比(スイッチング周期に対するON時間の比)
の設定により必要な電圧に降下させる。

スイッチングを繰り返す

図 9: DC-DCコンバータ(チョッパ方式・降圧型)とインダクタ

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